開けた窓から、流れ込む。
ある日。
ある晴れた日の朝。
微睡の中に、
カーテンのゆらめきと、
テーブルに反射する柔らかな光。
空は雲ひとつない青色で、
ベランダ越しに遠くの街が見える。
開けた窓から、街の香りが漂う。
穏やかに吹き抜ける初夏の風に、
いつもと変わらない街のざわめきを聞く。
この瞬間がたまらなく好きだ。
夜のマンションの部屋から漏れる光に
安らぐ世帯の暮らしを感じるならば、
朝の微風に運ばれる街の音には、
生き生きとした世間の胎動を感じる。
車の音、鳥の声、子どもの声。
こうやって、街が動き出す。
今日が始まる。
いつまでも微睡んでいたい気持ちと、
一刻も早く外の空気を吸い込みたい気持ち。
アンビバレントな思いが交錯する、
中間の時間。
部屋の外と中の、
眩しい朝と青空が広がる昼の、
過ぎ去る春とやって来る夏の、
あいだ。
全部が融けあう時間が、
開けた窓から、流れ込む。
こんな日は、
ふわふわと、融けるように生きられそうだ。
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