あなたへの疑問。
「世界は不幸な人で溢れているよ」
「今日を生きる食糧に窮し、当たり前のように虐げられ、身の危険と隣り合わせで暮らす人々がいるよ」
「それに比べて、あなたの辛さや苦しみは、ちっぽけなちっぽけなもの」
「あたたかい寝床が、美味しいご飯が、平和な日常が約束されているのだから」
明るい空の下で起こる搾取
清潔な都市の、無機質な壁の中で奪われる小さな声
閉ざされた闇夜の密室
誰にも告げず、心の底に沈めて、沈めて彼らは生きてきた
止まったままの時計の世界で、うずくまって泣き続ける彼ら自身の一部を、追い出すこともできずに心の底に棲まわせてきたのだろうか
私には私が体験したことしかわからない
いくら人の靴を履いて世界を見ようとしたところで、私は私の目を通して見たこと、感じたことしか、私の痛みとしては語れない
想像には限界がある
だからこそどうして、想像を越えた、自身として体験した彼らの、ようやく発した悲痛な声を蔑ろにすることができようか
どうして
私にはわからない
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