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30 甘くて切ない カシス

会うか

永遠に会わないか・・

自分にこの2択を示したとき

”今は失いたくない存在”と思えた。


付き合いたい?

付き合いたくない?

この2択を考えて見たとき

”付き合う事は考えられない”と思ってしまう。


今は失えない

自分を好きでいてほしい

でも付き合いたいとは思えない。

自分勝手な話だけど、これが本心。


今明らかに明確なのは、

今は失いたくない

今後一切会わない選択は、

今は出来ない。


私は会うことにした。


さすがに、家で食事からスタートするのは、

なんとなく気恥ずかしくて、

彼の住んでいる駅の近くの店で食事をすることになった。

彼が予約してくれたお店は、少し薄暗くてカウンターの様な席で、少しプライベートな空間のあるお店だった

軽く食事して、照れくさかった。

他に沢山人がいるけど、不思議と二人の空間を特別な空気で包んでくれる

よく気がついて、特別に優しい。

少し多めに何杯か飲んだ時、

彼はテーブルの下で、さりげなく私の手を握ってきた。

その後、その手は彼の部屋にいくまで繋いだままだった。

お会計も私が少し出そうとしたけど、頑なに受け取ってくれなかった。

頑張って全額出してくれた。

そういう所もいいなと思った。


自然な流れで部屋に着くと、

デザートにケーキ買ってあるんだよ。と言って出してくれた。

赤いカシスの小さな丸いケーキ。

美しくて綺麗な色。

私がカシスのケーキが好きだと言っていたのを覚えてくれていて

嬉しかった。



彼は圧倒的に優しくて、

圧倒的に女性として扱ってくれた

甘くて優しくて

そしてとても可愛い

一緒にいる空気は優しくて落ち着けた

こんなに優しい人がいるんだ…

こんなに私に優しくしてくれる人がいるんだ…

嬉しかった。

心に刺さった大きな傷が癒えていく


色々考えることはあったけど、

それは、また後で考えよう。

今この瞬間は少し好きだ。

私はこの甘い空気の中に

少しいたい。


またキスをして

私たちは自然に、この前の続きをした。









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