Green Planet

Green Planet

最近の記事

奈良の鹿を巡るガイドツアーから見えてきたもの

この間の日曜日に奈良公園で奈良の鹿を観察するガイドツアーを行った。当日は天気にも恵まれ、鹿たちの様子をじっくり観察することができた。 いっしょにガイドを務めてくれたTさんは、なんと!馴染みの鹿、50頭以上の鹿の顔が識別できるらしい。私は主に鹿の習性について、Tさんは個別の鹿のエピソードについて、参加者に説明した。 そんな中、Tさんの顔が曇る場面があった。ガイドツアーの途中で浅茅が原という大きな木がたくさん生えている場所を通ったときのことだ。ある一角だけ木が切られて、広場の

    • 通報内容は「過大なうそ」と断言した愛護会幹部!

      私が昨年秋に奈良県と奈良市保健所に対して送った通報書には、「2023年7月19日時点で、特別柵の雄25頭に対し腰椎から仙椎にかけて触診 したところ、8頭(32%)が極度に痩せている、11頭(44%)が痩せている、 6頭(24%)が正常という結果でした。」と書かれている。計算すると76%の雄鹿がやせている、もしくは非常にやせているという悲惨な状態だったわけだ。なお特別柵の雄鹿の頭数は7月時点で118頭~115頭の間で推移していた。つまり、私が無作為に選んだ25頭は全体の2割強を

      • 奈良の鹿を巡るガイドツアー

        奈良の観光シンボルかつ国の天然記念物である奈良の鹿。野生の鹿でありながら非常に人馴れしていて、街中で人と共生しています。奈良の鹿は、一体どんな生活を送っているのでしょう?このガイドツアーは、奈良公園内を散策しながら、鹿たちの生態や行動を観察します。鹿に詳しいガイドが同行しますので、鹿たちの秘密(?!)についておもしろい話がいろいろ聞けるかもしれませんよ! 開催日:11月17日(日) 集合時間:午前9時 集合場所:奈良公園バスターミナル 東棟1F 総合案内前 スターバックスの

        • 鹿の角切りの不都合な真実

          今年も奈良の伝統行事、鹿の角切りの季節がやってきた。鹿の角切りが近づいてくると憂鬱な気分になる。6年前に鹿の角切り行事の後に数頭の雄鹿が死亡したのを目にしたからだ(写真参照)。 角切り行事では、健康で体格もよく、角がりっぱな雄鹿が使われる。普通に考えてこのような雄鹿が、ぽっくり死ぬことは考えにくい。しかし、大勢の人たちに囲まれた角切り行事で人に追い回され、角にかけられた縄で体の自由を奪われ、(麻酔なしで)複数の人に押さえつけられて角を切られる、このことは鹿にとって多大なスト

          更年期ですか?

          「今の言い方、非常に失礼です!」 「セクハラで一発アウトです!」 愛護会での始まりはささいなことだった。 最近、鹿の交通事故が増えてきたことで、治療が毎日忙しく残業続き。おまけに休日出勤も重なって、平日にその振替休日をとることになった。そんな平日休みの私あてに届いたメールにかんたんな返事することを、総務の職員に頼んだら、別の男性職員から「待った」がかかった。「そのメールには自分が休みであろうと自分で返事すべきた」とその男性職員は言う。メールの内容は、その日来る予定のボランテ

          更年期ですか?

          野生動物を診る獣医に必要な資質とは?

          9月に入って、奈良の鹿の交通事故が増えていて、鹿の治療で毎日とても忙しい。平日は残業、ここ数週間は休日出勤が当たり前になった。なんとか治療を手伝ってくれるボランティアさんの力を借りてしのいできたが、さすがに獣医一人でできる仕事には限界がある。 愛護会では獣医が私一人で、動物看護師もいないので、局長に掛け合って土日と平日2日来てもらえる動物看護師または獣医師を求人してもらうことになった。現在、ハローワークで募集している。 ところが、である。求人票を書くにあたって、私に何の相談

          野生動物を診る獣医に必要な資質とは?

          苦痛をとるための治療として奈良の鹿を殺処分??

          鹿苑のあり方検討部会およびWGで「苦痛とるための治療として安楽死」を強く提唱している委員がいる。どういう場合を想定してこのような意見を言っているのか、本人に直接聞いてみたいのだが、今のところ、その機会を得ていないので、わからない。 国によって動物に対する考え方は違うので一概には言えないが、欧米などでは動物に助かる見込みがない場合、安楽死を選択することが日本に比べて容認されているように感じる。しかし、だからといって「日本も欧米にならって奈良の鹿でもっと安楽死していきましょう」と

          苦痛をとるための治療として奈良の鹿を殺処分??

          兵庫県知事の問題について思うこと

          連日のように兵庫県知事のパワハラ疑惑、おねだり体質、百条委員会の様子が報道されている。兵庫県知事の問題を通報して亡くなった県職員の方は、追い詰められてとてもつらかったんだろうな。本当にお気の毒・・・私もちょうど昨年の今頃、県と市保健所に愛護会を公益通報した身だから、とても他人事とは思えない。 通報した当初は、今後の自分がどうなることか皆目見当がつかなかった。しかし、1年経って振り返ってみると、治療・検査に対する妨害や私に対する根拠不明の中傷を受けたにせよ、特別柵の雄鹿のエサ

          兵庫県知事の問題について思うこと

          獣医はいらない?!

          愛護会は県に対して、「鹿のための病院機能はいらない、鹿の治療は外部の獣医に任せたい」という内容を要望している。 奈良の鹿愛護会の設立目的は「奈良の鹿の保護育成」のはずだが・・そして奈良公園内では毎年100頭以上の鹿が交通事故に遭っている。一般の人から車にひかれた鹿がいるとの通報を受けたら、愛護会職員が現場に向かい、その鹿を救助することになっているのだが、鹿を車に乗せて運ぶだけで、あとは別の場所に持っていくだけということか。まるでゴミの収集車のように。 おそらく愛護会の本音

          獣医はいらない?!

          柵がないよ!

          鹿苑の特別柵にいる鹿は一般に、「もともと農地を荒らした鹿で、捕獲されて特別柵に収容された」ことになっている。確か去年の秋に公益通報を受けて愛護会が「特別柵の鹿は農地を荒らした鹿」と発言したことから、マスコミでもそのように報道されるようになった。この言い方だと、特別柵の鹿は「農作物に害を与える悪い鹿」との悪い印象を与えることになり、駆除されても仕方ないよね、の流れにもっていかれやすい。 しかし本当にそうなのか?特別柵の鹿のうち農地の網にひっかかって捕まった鹿は、いることは事実

          柵がないよ!