建設機械発達の概要(戦後~昭和30年代まで)

 戦後の建設機械としては河川工事用として浚渫船、ラダーエキスカ、機関車およびトロ等が主要なものであった。またダム工事においてはケーブルクレーン・コンクリートプラント・さく道等相当に機械化されていた。しかし掘削機械・土工機械・骨材製造機械・舗装機械・運搬機械などについては主として戦後に開発された分野である。

 第2次世界大戦中の昭和18年頃からブルドーザ、スクレーパ、ダンプトラック、パワーショベル、モータグレーダ等近代建設機械の研究が行われ、道路構築・飛行場設定機材として一部は使用されたが、性能機構とも充分とはいえなかった。戦後になって昭和20年頃から食糧増産のため機械開こんが計画され、一連の機械が発註された。これ等の中には小型のトラクタも含まれていたがそれ等の完成を前にしてブラウン旋風のため(昭和22年8月)に惜しくる中止された。昭和22年から数年間にわたり毎年の様に大水害に見舞れ巨額の被害をうけたので、河川改修が重点事業となり、昭和23年度より発足した建設機械整備費を中心として近代建設機械の育成が図られることになった。整備費発足当時は河川工事中心であったため掘削・運搬機械が主となりタワーエキスカ、ラダーエキスカ、ブルドーザ(9~13t)、パワーショベル(0.4~0.5m)、モータグレーダ(10~12ft)、ダンプトラック(4t)等が製作された。昭和24~26年にはこれ等の機械類の改良期であるとともにブルドーザでは15t級、パワーショベルでは1.2m2級への発展が見られた。昭和26年には戦後維持工事のみに限られていた道路事業も漸く改良工事が再開されて道路機械の発達の背景となった。道路機械は専ら公共事業に使用されたため国の育成策が非常に影響した。昭和26年頃には建設省直営工事用として一連の舗装セット(コンクリートプラント18Sx2、コンクリートスプレッダ、コンクリートフィニッシャ、ロードローラ、サイドダンプ等)が作られた。昭和29~31年には本格的に道路機械の研究が行われ、締固め機(ソイルコンパクタ、バイブレーションローラ)、スタビライザ、舗装用コンクリートプラント、コンクリートフィニッシャ、コンクリートカッタ等が新たな性能をもって誕生した。さらに昭和32年度に発足した道路公団と昭和33年度より始った総予算1兆円の道路整備5ヶ年計画によって、アスファルト系舗装機械も活発になりアスファルトプラント、アスファルトフィニッシャ、デストリビュータ等が改良されるに至った。

 一方ダム用機械については昭和27~28年頃から建設省の多目的ダム、電源開発や電力会社によるダムの盛況に応じて国産の骨材製造機械ワゴンドリル、コンクリートプラント、ケーブルクレーン、トランスファーカー等のダム専用機械の外、トンネル工事用機械や大型ブルドーザ、大型ダンプトラック、大型パワーショベル等の国産化が行われた。

 浚渫船については終戦直後、河川工事や干拓工事用として小型の組立式ポンプ船が導入されたが、運輸省関係のディッパー船やグラブ船等に新たな発達が見られ昭和33年度より湾港整備が重点施策となるにおよんで2,000~3,000ps級の大型ポンプ船が製作されるに到り大型化と同時に新型式のドラグサクション型なども研究されている。

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