建設機械発達の概要(ブルドーザ・昭和27年~昭和29年その1)

(2)第2期(昭和27年~昭和29年)

 この時期は国産ブルドーザの改良期に当るのと、たまたま電源開発ブームに当り、国産ブルドーザも建設業者の保有機として苛酷な試練をうけつつ改良された時期である。また、小松ではD120として23t級ブルドーザの試作を28年9月に完成している。また29年5月には三菱、小松でタイヤドーザを製作しているなど新型機、大型機等未開拓の分野への意欲も見られる時期である。

 まず、第一期で試作された機種について見れば、D50型はD50-5型(昭27.2)からD50-7型(昭29.7)に至る間約365台を生産しており、現在でも第一線機として稼働している。またBBは昭和27年8月にBB-IV型となり根本的な改良が加えられて現在に至っている。もちろん細かい部分改良はあったにしてる昭和27年より34年にいたる長い間大幅改造なしに製作を続け得る様な設計が27年当時において可能であったことは意義深いことである。KTF-70型の製造は小倉製鋼所から日本特殊鋼に引継がれ昭和26年10月にNTK-7型となり昭和29年度頃まで製作されたが、後述の大型機NTK-12型に転換された。
次にこの時期に出現した新機種としてはNTK-4(昭和27-7)、D40(昭28)、D120(昭28-9)等があり、この外タイヤドーザは昭和29年6月に三菱(WH)と小松(DW)で試作された。これ等のうち主要なものについて記録する。

(i)NTK-4型

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NTK-4湿地用ブルドーザ 

 日特が小型機の分野への進出を目ざして製作したもので、当時は建設工事用としては9~10t機が最小限度の様に考えられていたが、NTK-4型はブルドーザとして約6.5tでキャタピラ社のD4、インター社のTD9に相当するものであった。製作当初は主として農業用トラクタとして各種の農機具を装備して試験された。その後アングルドーザ(昭27-8)、レーキドーザ(昭27-12)、トラクタショベル(昭28-10)、オーバシュート型ローダ(昭28-10)、三角シュー付湿地用ブルドーザ(昭29-8)、トレンチャー(昭30-9)、ディッチャ(昭31-6)と新しいアタッチメントが続々と発表された。これ等のアタッチメントは当時ブルドーザ1点張りであった業界に新らしい波紋を投げ、特にトラクタショベルはその移動性と小形簡易な点が買われ小規模現場の積込機として新生面を開いた。また三角シュー付湿地用ブルドーザは北海道篠津原野の開拓等に使用するため研究され、わが国独得の三角断面のシューを装備して、接地圧0.21kg/cm2というブルドーザが誕生したのである。日本の地質と気候的な特殊条件のため軟弱地般が多いので、 ブルドーザやキャリオール等の施工には制約が多いが、最近では雨後に湿地用ブルを利用して工程をあげる例が増えてきた。これら一連の研究は他社を刺戟し、続いて三菱の BS30トラクタ ショベル(昭29-5)、 BBIV-S湿地用ブルドーザ(昭31-8)、小松D50ドーザーショベル(昭33年) 等が生れる契機となった。

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