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2004年4月の日記(過去のブログの記録)

2004年4月29日 (木)晴れ

Kathy Barker

 At the Helm という本は類書が無いこともあって、こちらで研究室を持つようになる人が読むべき必読書と考えられています。最近ではハワード・ヒューズ財団がまとめた Making the Right Moves も今のところ無料でPDFがダウンロードできるので、よい資料と考えられています。

 こちらのシステムでは研究者は学位をとってから、3年程度のポストドクトラル・フェローの期間を過ごし、その間に今後の研究の方針をまとめて独立するための職探しに入ります。首尾よく職についても研究室が安定するまでにはいろいろ通るべき関門があり、それは学位をとったり、ポスドクを成功裏に終了するのとは別種の技量が必要とされます。

 At the Helm とか Making the Right Moves はそういった研究室を立ち上げて、安定させるなどのいろいろな側面を書いたガイドブック。これまではこういった技量は人づてに話を聞いて学んだらしいのですが、やっぱり書籍としてまとまった形になっているのはありがたい。今日は大学に、著者の Kathy Barker がやってきて1時間ほどの講演をしてくれました。内容は At the Helm に沿ったものですが、自身の体験を含めて足早に概略を示していました。若い研究者を中心に多くの聴衆が熱心に聴いていました。その彼女、今現在はもう少し年季の入った研究者向けにどうやって交渉ごとを円滑に進めるかの本を準備中らしいです。At the Bench、At the Helm と続いて、彼女自身のキャリアの進み方にも合わさっているらしい。

 今は私も業績をつむことが主眼ですが、近い将来にこういったことをもっと真剣に考える日が来るでしょう。といいながらも、とりあえずは目先の実験を終了させて、早く論文にまとめないと・・・。

2004年4月26日 (月)晴れ

役に立つ本

  さて今日は何かの立つことを。O'Reilly という出版会社はコンピューター関連の玄人向けの本を出し続けている数少ない出版会社。いろいろなシリーズがあって、敷居の高いものもありますが、最近出ている "HACKS" シリーズは難易取り混ぜていろいろな技を紹介するシリーズです。

 マイクロソフト・エクセルは使っている方も多いでしょうが、事実上の表計算ソフトのスタンダード(というより他があまりに目立たない)。研究でもあまり込み入っていないデータの統計解析ぐらいには使えますし、私もグラフの下絵を作るのに使っています。しかしその機能は多彩で、おそらく私が使っているのは一部の機能のみ。そこでいくつか本を買って見たのですが、基本的なことばかりで、便利な機能の紹介を集めた本には今まで出会いませんでした。そこで、EXCEL HACKS。リンク先でサンプルを読めますが、結構役に立つ技が書かれています。

2004年4月25日 (日)雨

NFLドラフト、ある若者の死

 昨日と今日はNFLのドラフト。32チームもあって、7巡まであるので300名ほどの選手がドラフトされます。だいたい1巡の上位が契約金に億単位の金が出て、チームの将来を決するスター選手。3巡ほどまでがすぐにチームに貢献するような選手のことが多く、それ以下は今後のキャンプ、プレ・シーズンの試合で生き残りをかけるような選手が選出されます。選択には時間制限もあって、この間に誰を選出するか、もしくはドラフト権をトレードするなど複雑な駆け引きが行われます。今年話題になったのは、全体1位で選出されたイーライ・マニング選手。彼は父アーチー、兄ペイトン(インディアナポリス・コルツの現役選手。昨季MVP)を持つフットボール一家の出身。ここまでの有名選手になるとどのチームに行きたいかの希望を出すのが普通ですが、ドラフトの上位は成績の悪いチームであって、希望とかけ離れることがほとんど。そこから球団どおしの駆け引きが始まります。今年は、まずはこのマニング選手、希望でないサンディエゴ・チャージャーズに選出され、そこからすぐにトレードされてニューヨーク・ジャイアンツに行くことになりました。

 さて、日本であまり報道されていないニュースをひとつ。パット・ティルマン27歳。この若い陸軍士官のアフガニスタンでの死が数日来大きく報道されています。9・11以来、米国がアフガニスタンとイラクに駐留し、特に最近では毎日のように民間人、軍人の死が報道されているため、、ひとつひとつの死の扱いは小さく、聞く側もその報道には麻痺をきたしているところがあるように思われます。

 その中で彼の死が大きく扱われたのは、彼がNFLのスター選手だったからです。アリゾナ大学を出て地元のアリゾナ・カージナルスにドラフト下位で入団。プロの中ではやや体が小さかったため、当初はまったく期待されなかったのですが、レギュラーに定着し将来を期待される中で起こったのが9・11でした。彼は翌年、年間約4億円以上の契約を断り、自ら志願して陸軍に入隊。そしてイラク、アフガニスタンに派遣され、先日戦闘中に命を落としたとのことです。

 国のため同胞のために命をなげうってまで何かをする、という覚悟は日本だけでなく、世界のいろんな文化で貴重なことだと考えられることだし、そのような気概をもつ若者がいる国の底力を感じます。しかしながら、そういった力を、同時代的に見ても、歴史的観点からも正しく使うのが、上に立って政治を行う人たちの役目ではないのかとも考えます。その考えからはこのニュースを見る私の胸中は複雑です。

 ドラフトには「徴兵制度」という意味もあり、この週末には少しいろいろなことを考えました。

2004年4月24日 (土)雨

パーティー

 共同研究先のラボにいる方の誕生日で、面倒見のよいお母さんお姉さん役宅でパーティー。手作りのピザがめちゃくちゃにうまかった。

2004年4月23日 (金)雨、のち曇り

ふう

 論文の校正を送り返して、約一月前に返ってきた論文の講評に答える実験も整い、論文を書き直して送り返したころには夕方になっていた。緊張が緩んでしまったので、Kill Bill Vol. 2 を見に行ってしまいました。けっこう私は好きです。これ。

 さて、何か人の役にたつことをお伝えしましょう。無料のメール・アドレスは、Hotmail とか、Yahoo! Mail が知られています。これらが有名になったのは、 ITバブルがはじけた後も生き残ったことでしょう。これらは便利なのですが、メールボックスの容量が大体、2とか4MB程度。大きな添付ファイルつきのメールはまず送れません。そのためか最近話題になったのが、検索エンジンでおなじみ Google がテストしていて、今年中には一般公開するとうわさの G-Mail。画期的なのがメールボックスの容量が1GB(=1000MB)と、圧倒的な容量を誇ることと、サーチ機能を使ってすばやくメールが探せることらしいです。ところがこのサービスには早くも反発があって、メールに広告が載るのがよろしくないとか、メールの内容をサーバー側が読んでいるのでプライバシーの侵害に当たるとか、商売敵のやっかみか?、と思えるような動きがすでに始まっています。

 さてそんな中、1GBの容量を誇る無料のメールサービスを見つけました。SPYMAC というサイトで、私も登録してメールは快調に動いています。無料ホームページのスペースもふんだんにあるようのですが、どうもアクセスがうまくいきません。さて、無料で容量も豊富で、POP3 メールも使えるといいことづくめなのですが、メールアドレスが、「XXXX@spymac.com」と「spy」という単語が入るのが、玉に瑕ですか。

2004年4月21日 (水)晴れ

ああ

 友人の所に行って、友人がやってきて、期限のある仕事があって、と忙しい。人に役立つ情報を久しぶりに書けるかと思ったら、明日までに採用論文の最終校正をして送り返す必要があるので、本日はこれまで。

2004年4月18日 (日)晴れ

ビーチ

 きれいに晴れ上がった今日はビーチで寝ころがるのに最適。水は冷たいので泳げませんが、南カリフォルニアの気候がよいのが実感できます。 そこら中に日本食や寿司のお店があるのはうらやましく、ちょっと入ったお店でもそう値が張らないで相当いけました。

 昼過ぎに友人に空港まで送ってもらい、空路、デンバー経由でセントルイスへ。東向きなので、経過時間以上に到着時間は遅くなってしまい、空港に着いたのが真夜中すぎで、自宅到着が1時過ぎ・・・。明日からの仕事と、大学時代のクラスメートの到着に備えないと・・・。

2004年4月17日 (土)雨のち晴れ

Disney California Adventure

 朝からあいにくの雨だったのですが、移動したり今夜の宿を取ったりしているうちに夕方からきれいに晴れました。せっかくなのでアナハイムに行き、Disney California Adventure を楽しむことに。隣の Disney Land が原型を変えないのに対してこちらはより最近のアニメのキャラクターとタイアップしたアトラクションや、乗り物にも力を入れたアトラクション。ローラーコースターでは乗り物酔いしましたが、楽しめました。

2004年4月16日 (金)晴れ

ダライ・ラマ

 今回カリフォルニアに来た目的のひとつは、ダライ・ラマの講演を聴くためです。正式には His Holiness Dalai Lama XVI で、ご存知の人もいると思いますが、この名は位に与えられるもので個人名ではありません。世襲制でもないようです。チベットは現在中国の統治下にあるため、彼は現在インドを本拠地にして世界中を講演して巡っています。高齢なのと、今度いつ話を聞く機会があるかわからないで、友人がチケットを取ってくれたのを幸いに出向きました。

 会場は満席。中に入るための長蛇の列を見ればその注目度がわかります。講演は話の内容よりは、母国語でない英語で話を進めるためその内容を理解するのが大変でした。隣には通訳もいて、時たま込み入った内容の時には通訳を通して話を進めていたのですが、やはり彼の本を読んでいないと理解が落ちるでしょう。しかし、哲学的な内容であっても根本の部分をシンプルにすれば、他国語でも話が通ずるものだとも思いました。 

2004年4月15日 (木)晴れ

移動中

 ちょっと休暇をとって、南カリフォルニアに移動中。ラップトップのバッテリーが3時間程度しか持たないのが非常に気になりだす。到着した Orange County の空港で、渋滞に巻き込まれた友人を待っている間、空港内の電気を借用したりして電源を持たせるも、やはり長い時間が使える機種が気になる。

2004年4月13日 (火)晴れ

「インスリンの発見」 The Discovery of Insulin

 パーティーは苦手で行かないのですが、今日のアメリカ糖尿病学会セントルイス支部の会合には出向きました。お目当ては The Discovery of Insulin (邦題「インスリンの発見」)の著者、Michael Bliss の講演。インスリンはトロント大学で、1921年 Charles Best、Frederick Banting、J.J.R. MacLeod、J.B. Collip らによって発見・実用化され、患者さんに投与されたのが翌1922年。そして Banting と MacLeod にノーベル賞が1923年に授与されています。4人のうち2人しか名前が挙げられていない裏には人間ドラマがあったそうです。そういった話から、インスリンが実用化するまで患者さんの治療がいかに苦難なものだったのか、そしてインスリンがいかに劇的に効果を示したのか、非常に興味深い話を聞きました。今まで聞いた講演のなかで最高のもののひとつです。トロント大学図書館のウェッブサイトでは、いろいろな資料を見ることが出来ます。

2004年4月11日 (日)晴れ

あ、イースターだった。

 昨日は仕事の仕掛けをして、ようやく「白い巨塔」の最終回のビデオを見つけたので夜更かし。結構これは泣けますよ。こんなんで泣いてはいかんか。

 というわけで少し遅めにおきだして、髪を切ろうと近所の床屋に行くと駐車場がガラーン。あ、そうだったイースターなので大半のお店がお休みです。アメリカに来て知ったのが、独立記念日(7月4日)、労働記念日(9月1日前後)、サンクスギビング(11月最終木曜日)、クリスマス、などの大きな休暇ではスーパーなども含めてお休みになってしまうこと。慣れるまではけっこう面食らいます。

 というわけで昨日の続きで実験の結果を見ると・・・、いいですね。これで追加実験を要求されていた論文のデータが一区切り。図表にまとめたので、明日ボスと話し合ってもう少し手のかかる実験をするか否かを協議して、再投稿するかどうかを決定します。

 そのボス、日曜ながら少しやってきて仕事をしていました。帰りがけにやってきて、こんな実験はどうか、あんな実験はどうかと話をしていく。それらはやりたいのだが、あと2本ほど論文をまとめたいのでスケジュールがきついし、6月のはじめの学会で2本発表を控えてその準備にも時間を割きたいし。とかいいながら、来週末にかけて少し旅行に出かけたりするのはいかがなものか。「ダラス通信」の管理人さんにならってドラマ禁にしないと。「白い巨塔」を見終わっていてよかった。

2004年4月7日 (水)晴れ

また一人・・・

 また訃報です。今度は芦屋雁之助さん。こうやって子供の時の記憶にある人々は少しずつ世を去って行くのを見ると、自分が年をとったのを自覚します。

2004年4月4日 (日)晴れ

Daylight Saving Time、税金

 今日から「夏時間」Daylight Saving Time。時計を1時間早く進めるので1時間損した気分になりますが、それでも夏になると6時には日が昇り、日没が9時近くになるので合理的だが。

 今日ようやく税金の申告をしました。こちらでは源泉徴収されていても、ビザの関係等で税金が免除になっていても全員が税金の申請をすることになっています。前年分の期限は4月15日。日記を見返すと、毎年4月の第一週に納めているのは進歩が無い。今年も TurboTax というソフトを使って、申告書の提出もオンラインで済ませました。所要時間はインストールも含めて数時間というところなので、昨年などよりは時間がかかってないか・・・。

2004年4月2日 (金)晴れ

クリニック

 久しぶりのクリニック。6月のクリニックは学会等の都合でキャンセルしたので来月が最後。こちらの外来は容態が落ち着いていれば3ヶ月に一度の再来とかはざらなので、次にクリニックにくるときには別のフェローに診てもらうことになることを告げると、結構残念がられるのは心残り。時間に余裕のあるこちらの外来ではじっくり話を聞いてあげられるのが長所か・・・。

2004年4月1日 (木)晴れ

ええ、やっぱりそうでした

 昨日、帰りがけ「ダラス通信」を覗いたところ、 「ダラス通信は、研究留学ネット(研究留学関連の情報が集まる巨大ネット)に吸収されることになりました・・・」のメッセージとともに、自動的にページがジャンプし、リニューアルした「研究留学ネット」の一部に確かにダラス通信が吸収されたように見えます。 しかし、いくつか不自然な点があったので、よく考えればエイプリルフール企画らしい。あまりに手が込んでいて面白かったので、途中で相乗りさせていただきました。「研究留学ネット」でも一時お付き合いいただきました。ありがとうございます。 当日はこんな感じでした

  しかし7月に帰国することは決まっているので、このサイト、どうしよう。吸収されたいというのはあながち嘘ではなかったりして・・・。


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