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旅ストーリー「GTJV(3/3~随時更新)」

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あなたのために公開する、半径2キロくらいの、大切な旅の記録。 正式名称”GreatesTrip,Jum'v'oyage”グレイテストリップ/ジャンボヤージュ 書いている人writ…
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2024年5月の記事一覧

物語「GreatesT’rip Jum”V”oyage」18-3. shinjuku GreatesTrip Ⅸ-3

前回 GTJVー18-2  どこに行けばいいのか分からない。 生徒手帳で見た住所なんて、断片的で一瞬だったから覚えてない。たとえ覚えていたとしても、そこで会うのは違うと思う。というか会えたとしてなんていうのかわからない。  学校ならどうか。その存在としてはいる、のかもしれない。でも少なくとも、わたしが探している人は、もうそこにはいない気がする。 なにより、そうしてはいけない気がしていた。彼女は旅に出たのだから。 では、どうしよう。ちゃんとチェックしなかった事の言い訳でし

物語「GreatesT’rip Jum”V”oyage」18-2. shinjuku GreatesTrip Ⅸ-2

前回 GTJVー18-1 「で、どこに行くの? 良かったらついていくよ」 「うん、じゃあ」  言おうとして、口ごもった。  今までのことをどこまで話したらいいんだろう。立入禁止の屋上に入ったこと、ウソついて昼抜け出していたこと。シントシンに思い入れがある事、空が嫌いだったこと。  そして、何より、屋上で出会った、詳細不明失礼旅行美少女のこと。  ええと、どう、すれば、いいんだろう。  思わず立ち止まる。ぐるぐぐると廻りかけたクランクが音を立てずに止まる。  沈黙。  心

物語「GreatesT’rip Jum”V”oyage」18-1. shinjuku GreatesTrip Ⅸ-1

前回 GTJVー17-5  『L』と『O』の下、『V』と『E』の間。  わたしは愛の重圧にはさまれながら、雨をしのいでいる。 LOVE、といっても何かをたとえたり、形にならないものを表現したりしたわけじゃない。そうじゃなくて、文字をかたどった、高さ3mくらい、奥行きはその半分くらいの立体アート。イタリック体、っていうんだっけ、そのフォントが横書き二段で積まれている。  夕方はとうに過ぎて、白とオレンジのライトが明るく、でもピントをぼやかしながらシントシンを照らしていた。