毎週ショートショートnote【可愛い子には変化をさせよ】

　
　「私だって、好きで可愛く生まれたわけじゃない！」
　なんともぜいたくな悩みなのだが、本人にしてみれば深刻なのだ。
　「普通にしてても、いろいろ裏があるんじゃない？とか言われるし」
　「いっそ、美⇒醜整形でもしてみるか？」「やるわ！」

　彼女は期待に胸を膨らませて鏡を見た。「わ！なにこれ。前より可愛くなってる」 可愛いの基準が崩壊していた。彼女は眠らされていただけで、メスはどこにも入っていなかったのだ。そのことを告げると信じられない！となかなか受け入れられないでいたが、ようやく悟ったようだ。
「可愛いは作れるけど、作ったところで化けの皮はすぐはがれるのね」
「そうだよ。君は可愛くなんかなかったんだ。美形ではあったが、そのことに気を取られすぎて自分を見失っていた。素直でいること。ありのままの君でいいよと言ってくれる人こそ、君を可愛いと思う人なんだよ」「あなたは？」「残念ながらオレには手に負えない。君の鼻は美しすぎる」
   
　その後の変化は歴史が物語る。クレオパトラ。君は素直になりすぎた。
亡き夫の後を追うなんて誰が想像しただろう。