株価暴落時にエコノミストや投資評論家が「投資自己責任論」を強調するのは、専門家として無責任ではないか

株式市場が乱高下しています。
こうした中で、エコノミストや投資評論家の中に「投資自己責任論」を唱え、「下がったときに文句を言うのであれば、投資などするな」というような言説を唱える方がいます。
しかし、こうしたエコノミストが、現在の局面で、「投資自己責任論」を強調する言動には、疑問を覚えます。
こうしたエコノミストは、多くの場合、証券会社のセミナーや動画で講演料等を得ています。したがって、株式投資を勧誘するポジショントークを行っていることが多いです。なぜなら、投資に否定的なことを言えば、証券会社が起用してくれないからです。この講演料等の原資は、当然ながら、証券会社の顧客(個人投資家を含む)から出ているものです。
にもかかわらず、株価が暴落して、個人投資家が動揺しているときに、「投資自己責任論」を振りかざして、「下がったときに文句を言うな」などと個人投資家の気持ちをさらに傷つけるようなことを言うのは、そのことで報酬を得ている専門家としては、無責任だと思います。
「下がったときに文句を言うのであれば、投資などするな」と言うのであれば、前記の証券会社のセミナーや動画の冒頭で、自分の立場として明確に言うべきです(このように言った場合に、次の講演依頼が来るかどうかは知りません)。
もちろん、「投資自己責任論」自体は、間違いではないと思います。しかし、今、個人投資家が専門家に求めているものは、現状に対してどうすれば良いかのヒントだと思います。
例えば、①過去の事例や今回の原因分析から見て、相場が落ち着いたり、回復したりするためには、このくらいの期間がいるのではないか、その期間、持ちこたえられるのであれば、含み損を抱えて頑張ってみるのも一つの方法ではないか、②積立投資の場合には株価の下落は買株数増のチャンスなのであわてることはないのではないか、③逆に、現在の含み損ならば損として受け入れることができるのであれば、損切りするのも方法の一つではないか、などのヒントです。もちろん、これらのヒントは、個別アドバイスにはライセンスが必要であり、できないことを前提としているので、一般論としてのものです。最終判断するのは、やはり「自己責任」となります。
しかし、株価が上がり続けている地合の良いときには、投資を勧奨する目的のセミナー等で儲け、地合が悪いときには個人投資家を傷つけるコメントを偉そうに言うのではなくて、専門家として、個人投資家が今求めているニーズに寄り添った言動をして欲しいと思います。
今回の、乱高下相場におけるエコノミストや投資評論家の言説を見ていると、誰が、自分の金儲けだけのためではなく、本当に個人投資家のことを考えて活動しているのかが分かると思います。その意味で、この相場状況は、エコノミストや投資評論家の質のテスト機会でもありますね。

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