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パリ生活ゴ (20) トラウマ

「パリ生活ゴ」では、語学テキストにはあまり登場しない
パリの日常生活シーンと、パリジャンがフツーに話している『パリ生活ゴ』を紹介。
(2002年〜2016年にフランスニュースダイジェスト誌面、サイトに掲載されたGDR執筆コラムに修正、加筆したものです)

が、ご注意を!!!
こなれた俗語が満載。
なので外国人の私たちが使うのはオススメしません。
失礼になったり、誤解されたりするリスク大です。
なので、聞いた時に理解できてOKというスタンスで眺めて下さいね。

また、スキットはGRDが全て作成したので、文自体はフランス人の口から出てきたネイテイブフレンチではない箇所もあります。
が、全てネイテイブチェックをかけています。
これらの文は、外国人フレンチだが、意味はバッチリわかる、という内容ですのでその点、ご理解下さい。

scène 20. トラウマ   

<シーン 20 >
パン屋のレジに行くと、いつも顔がひきつる。昔、泥棒扱いされたトラウマのせいだ。

パリに住み始めた頃。毎日通っていたパン屋でいつものようにクロワッサンを1つ注文し、50フラン(当時はフランだった!)を置いた。レジのネエチャンはよそ見をしながらおしゃべり。と、おつりが全然足りない。50フラン札を20フラン札と間違えてるのだ!身振り手振りで伝えたものの、厚化粧のネエチャンはひとさし指をフリフリし、「アンタは20フラン払ったのよ。言いがかりはヤメてよ」ときた。

いったん家に帰ったものの、怒りで体がガクガク震えてきた私。すぐにリターンマッチをかけた。押し問答の挙句の果て、ネエチャンは「このドロボウ!そんなにカネが欲しかったら持っていきな!」と小銭を投げつけやがった。
私はオ-ナ-を呼び、一言。「今すぐレジを止めろ。警察呼べ。一緒に数えようやないかい」

迷惑そうな警官と一緒にレジのお金を数えた。 結局私の正当性が証明されたが、ネエチャンにドロボウ扱いされた心の傷はいまだに消えない。

<使えるパリ生活ゴ 20 >
(À la caisse d'une boulangerie)
 パン屋のレジで

A : Ça va? Tu as l'air pâle et ①nerveuse.
大丈夫? 顔色悪いし、いらいらしているみたい。

B : Je suis encore ②traumatisée, je crois. Il y a 11 ans, on m'a pris pour une voleuse dans une boulangerie du coin.
まだトラウマがあるみたい。11年前、角のパン屋でドロボウ扱いされたの。

C'était une vendeuse ③tarée qui m'a fait ça.
やったのは頭のおかしい売り子だったわ。

A : Et alors?
それで?

A : J'ai fait venir un policier pour faire compter la caisse.
警察呼んで、レジのお金を数えさせたわ。

J'ai réussi à ④me justifier mais je suis toujours ⑤mal à l'aise aux caisses.
私が正しいってこと証明できたけど、レジに来るといつでも落ち着かなくなるの。

〜解説 20 〜
① nerveux(se)で、「いらいらした」。
<関連語> avoir les nerfsは「いらついている」。【être énervé, crispé】。

② traumatiseは「トラウマのある、心に深い傷を負った」。
<関連語> traumaトラウマ、ギリシャ語起源。traumatisantは「精神的に非常につらい、ショッキングな」。

③ taré(形容詞、名詞)は「馬鹿、イカれている」。
【imbécile, idiot, crétin】。Il est complètement taré ! で「あいつ、完全にイカれてる」。

④ se justifierは「自分の(意見の)正当性を証明する」。
フランス社会では自己の正当性を言葉で証明しなければならないことが多い。そして説明には常に論理性(logique)が求められる。

⑤ être mal à l'aiseは「居心地が悪い」。
<反対語> être à l'aiseで「居心地が良い」。Mettezvous à l'aiseで「どうぞお楽に」。

❤️では scène 21 でお会いしましょ❤️


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