台本を公開しながら更新して完成させてみる~「カフェ店長(仮)」という台本~

『カフェ店長(仮)』


第3幕 第1場 離島の小屋

 小屋の前に着いた僕。辺りを見回す。
 扉から店長が出てくる。

僕 店長!
店長 ……嘘やろ。
僕 何してたんですか。
店長 何って……。
僕 みんなどれだけ心配したと思ってるんですか。
店長 ……すまん。
僕 すまんじゃないですよ。
店長 そらそうやな。
僕 教えてくれませんか?
店長 こっち来んといてくれ!
僕 え。
店長 あ、いやそういう意味やないねん。この辺のもの何か触ったりしたか?
僕 な、何も触ってないです。
店長 そっちも?
僕 はい。
店長 そうか。助かるわ。
僕 何なんですか?
店長 順を追って説明するわ。一人か?
僕 そうです。
店長 一応聞くけど、録音とかそんなんしてへんよな?
僕 どうしたんですか?
店長 してへんな?
僕 してないです。
店長 信じるわ。とりあえず助かる。
僕 あの、さっきから何のことか……。
店長 今から話す。まず一つ、話すけど皆には黙っといてくれ。
僕 何でですか。
店長 それも説明する。気持ちはわかるけど、まずは聞いてほしい。
僕 はい。
店長 二つ目。ホンマにすまんけど、今日はそこから動かんと、話を聞いたら帰ってな。
僕 ……はい。
店長 動かんでほしいってのはなるべくこの建物と俺に近づかんといて欲しいってことやねん。すまんな。地べたやけど座るか?

 そう言って店長は自分から腰を下ろした。

店長 1年くらいか。
僕 ええ。
店長 そっちも暑いか。
僕 まだまだ暑いです。
店長 どこおってもえらいなあ。
僕 この島はのんびりしていいですね。
店長 のんびりしとるよ。
僕 大阪の店が嫌になったんですか?
店長 嫌には……ああ、どうなんやろ。あったかもしれん。
僕 けど、だったらこんな消え方しないでしょ。
店長 俺のことよく分かっとるな。
僕 そりゃまあ。
店長 実はな俺の奥さんがな
僕 奥さん⁈
店長 よくわかってへんやん。
僕 いやだって! ええ! 前から?
店長 大阪の時からよ。
僕 全然知らなかった……。
店長 誰にも言うてへんしな。
僕 それでも何かしら
店長 奥さん、病気あってな。だいぶひどなってしまったんよ。
僕 ……。
店長 すまん。あの時は説明する時間なかった。
僕 今は……大丈夫なんですか?
店長 うん。
僕 良かった。
店長 けど、もう大阪には戻られへん。
僕 どうしてですか?
店長 化学物質過敏症って知ってる?
僕 ……話に聞いたくらいは

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