【読む】心の病気にならない色彩セラピー

備忘録。読んだ本のポイントまとめとちょっとした感想。

色彩セラピーには大きく2通りの方法がある。
一つは外側から心を癒す方法、もう一つは内側から癒す方法。

<外側>
色彩の効果を環境から心理に取り入れる(インプット)
人が安らぎを欲して観葉植物などの緑を求めることや、気分を変えたくて洋服の色を選ぶ、など日常的に行っていることもそう。

効果の実例
●監獄・少年院の壁をピンクにしたら秒力的な行為が目に見えて減少した。
●日本だと病院。白は緊張感を高める作用があるので、パステル系の色を導入するところが増えている。
●環境色彩は肉体にも影響する。どの色に接しているかによって筋肉が弛緩・緊張する。
暖色系:血圧、脈拍、呼吸速度を高める
寒色系:生理機能を沈静化させる

<内側>
色が持つ意味を記号のように一元的にあてはめるのは無理がある。
とくに子供は年齢があがるほど、色のいみづけが複雑で多元化する。

アメリカの研究者による色の意味づけ(幼児対象)
赤:自己主張の状態、あるいは敵意
青:気持ちが内向している状態
黄:幼児段階にとどまりたい願望。依存心や幸福感

しかし、しっかり者の子供で他の子の面倒をみるような子が
絵を描くたびに黄色を好んで使っていた。
理由は、過去に黄色で塗られた船の絵を図工教師が色使いを褒めてくれ、校内のコンクールにも出品してくれたという喜びの記憶と紐づいていた。
その経験が自信になり、図工を楽しみになり、黄色を使う頻度も増えた。
この場合、黄色はその子にとって自身やよろこびを表す色として、独自の意味を持っている。
緑色が一般的にやすらぎや安心感を与えるということに対し、とある年配の男性がくすんだ緑色をみると軍服や戦車を思い出し辛い記憶が蘇る、といったように、多くの人が抱く共通の色の意味と、その人の体験に基づいて形成される自分だけの色の意味という両方が一人の人間の中にある。


・色彩を選ぶとき、私たちは日頃、自由に色を選んでいるように思っているが、そうでもない。
・既成概念がはりついていて、色彩感覚が鈍っている。
・女性がピンクやオレンジなどの暖色系の服装、男性が寒色系が多いように。
・気づかぬうちに社会的なルールに従っている。
・ところが、幼児が使う色彩に性差は感じられない
・集団生活の中で次第に男らしい色、女らしい色などと刷り込まれていく。

こうしたことが、色彩嗜好を制限してしまい、色彩感覚を麻痺させ、心に必要な色彩を選ぶ際の制約になる。

感想
色彩セラピーというものを初めて知ったのだが、ただ何も描かずに色をぬるだけで、心の整理がつくことがあるようだ。また、それを続けていくことで使用する色にも変化が現れる。
他者といる時、基本的に神経を使っているが、心が疲労しているとき、他社への気遣いや自信の気持ちを言語化するのが難しいことがある。
それを考えると、様々な人に受け入れやすいセラピーなのかなと思った。

また、幼児が使う色に性差がなく、刷り込まれていくというのが、まぁ自分もそうだったんだろうけど、改めてショックを感じた。デザインと性差について少し思うところがあり、また別でまとめよう。

意識せずとも何らかの色の影響を受けていることがわかり、治療薬など媒体のデザインをするときは、気をつけなくてはいけないと再認識した。暗すぎてもいけないし明るすぎてもいけないし、アクセシビリティ的なことも考慮が必要なので、医療系は思っていた以上に難しい。ただ、色の心理的傾向を知っていると、クライアントへのデザインの説明にも説得力が増す。


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