見出し画像

【仙台フィル×山響×ラヴェル】クラシックコンサートと”ベロ”を楽しむ旅

今回は、あんまりにも楽しみすぎてつい予告までしてしまった、クラシックの演奏会を聴いてきたお話を中心にした仙台紀行。またの名を、一日かけて3つの”ベロ”を楽しむ旅、である。
noteは週イチ更新を継続する、と、誰にも約束していない。結果的になんとか週刊連載のペースを、1クール維持することはとりあえずできたようだ。今回は週刊連載のペースを崩した増刊となる。

まえがき(みじかく)

ついに大好きな仙台で、大好きなフランス音楽(ラヴェル)を聴く日がやってきた。せっかく仙台に行くのだから、10時に着くのではもったいない。9時台に着く新幹線はそもそも存在しない。少々早いとは思いつつも、9時前に仙台に到着する新幹線で向かうこととした。到着やいなや、仙台市内を徘徊し活動を開始したのだが、そのことは置いておいて、まずはコンサートのことを、浅学で拙いながらも感じたことを書かせていただく。

「仙台フィル×山響 合同演奏会」2023/7/22 東京エレクトロンホール宮城

プログラム

  • ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲

  • ラヴェル:ダフニスとクロエ 第2組曲

  • ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ

  • ラヴェル:ラ・ヴァルス

  • ラヴェル:ボレロ

予告の通り、曲目はオールフランスプログラムであった。

ホールのご紹介(というほどのものでもないが)

こちらのホール(東京エレクトロンホール宮城)は、初めて足を踏み入れた。さんざんに秋波を送っていた定禅寺通りのほとり。最高のロケーションである。

入口を入ると天井低め、決して広いとは言えないロビーがあり、目の前には大ホールの横っ腹に繋がる出入口が。そこからひんやりと冷気が流れ出している。結構な暑さであったので吸い寄せられるよう。

ホールは年季が結構入っているようにお見受けした。客席スペースは奥行きが浅く横幅が広く、天井が高い。到着したときにはすでにかなりの客入りであったが、音はよく回りそうなホールとみた。3階席まであり1500席程度。下手側にのみ花道があった。
席は1階席の真ん真ん中で、上階席の被らない場所。適度に距離も取ることができているし、席は極めていい位置を確保できた。

本来なら初めてのホールであるから、ホール内を徘徊してもっと観察すれば良かったのだが、あとに述べるようなことで、午前中かなり歩き回ってしまっていた。柔らかい席に腰を下ろしてしまったら、根が張ったように落ち着いてしまい、そのまま開演を迎えた。

演奏曲の感想

華やかなドビュッシー、ラヴェルの色彩豊かな演奏曲目を楽しむことができた。大変満足。

『牧神の午後への前奏曲』

牧神が妖しくあやつる笛の音ー冒頭のフルートのソロ―が、本格的に眠気を誘う。1曲目から熱演だった。正直に言うと一瞬だけ寝た。理由は感想のところで。

『ダフニスとクロエ 第2組曲』

私の中では、どうしても吹奏楽のイメージが先行するこの曲(我が家は子供達が、部活動に吹奏楽を選んでいたこともありまして)。特に最後の『全員の踊り』は、走り出したら止まらない、土曜の夜の天使さ。基本そういう曲ではあるのだが、今日はふっと手綱が緩む瞬間があり。「イケイケドンドン一辺倒?何を言っているんだい、君。そうではないのだよ」と語りかけられているよう。
自宅で音源(cond.マゼール)をもう一度聴きなおしたが、自宅ではそうは感じられなかった(マゼールだから?)。やはり音楽は現場なのか。
前後するが『夜明け』は色彩感、朝の情景の色の移り変わりが目に見えるようであった。

『高雅で感傷的なワルツ』~『ラ・ヴァルス』

演奏会終わりで呟いてしまっていたが、『高雅~』がふわっと終わり、ヴェロ氏は指揮台から降りず。我々観客の方を一顧だにすることなく、『ラ・ヴァルス』の冒頭の、あのコントラバスを招き入れる。そして、せっかく作り上げたワルツをーしかも助走路はいつもより延伸されてー砂山を蹴散らすように、見事に壊して見せてくれたようであった。このコンサートで一番感慨深い場面だった。きっとヴェロ氏の趣向であろう。心の中でブラボーを連呼していた(誰も言わなかったから言うのは憚られた)。

『ボレロ』

スネアドラムはオケの真ん中、弦楽器と管楽器の間に位置どっていたが、私の位置からは最終盤まで確認できなかった。ヴェロ氏の指揮がヒートアップして動きが大きくなってきたところでようやく見つけることができた。スネアドラムの緊張感とあいまって、冒頭のフルートから、ソロ楽器は割と自由に楽し気に、音符を前後に揺らしながらやっていらっしゃるところが印象的であった。
ヴェロ氏の「もっとだ!もっと!」と言わんばかりのジェスチャーは、フットボールの監督を見ているようで微笑ましかった。

(Encore)ドリーブ:バレエ音楽「コッペリア」より ワルツ

最後にデセールを、という意味合いであろうか、きちんとしたワルツを。私のごくごく個人的な感想としては、ラヴェルまみれで帰っても全然よかったと思っている(重ねて個人の感想です)。

仙台を楽しんだ一日(あわせて、1曲目が真に迫った理由)

ここからは仙台紀行である。

意気揚々と9時前には仙台入り。
長男と駅で合流し、到着のそばから、まだ店の半分もオープンしていない仙台のアーケードを、親子でのっしのっしと徘徊。目的は一番町・壱弐参横丁にある「ポケふた」であった。

偶然にもここは昨年、栃木SCの応援でアウェイ仙台に行ったとき。前夜の決起集会に飛び入り参加したのが、この近辺の飲み屋さん。

仙台駅に戻り、今度は駅の反対側、宮城野区へ。
灼熱の楽天モバイルスタジアムで、高校野球をまるまるひと試合観戦(スタジアム見物のつもりが、ちょうど仙台育英さんの準決勝が始まったところだということであったので、急遽観戦。試合終了までたっぷり2時間半くらいは観てしまった)。

球場併設のグッズショップがものすごく大きく、ユニホームも所謂シャツタイプというか、レプリカでないユニホーム(3000円とか)も多数置いてあり、ライト層も手が出しやすそうである。
応援タオルは2軍・育成選手のものまで並んでおり手厚い。
テレビでも映っているのでおなじみだが、スタジアムのそばに観覧車があるのはとても親近感。選手背番号の振ってあるゴンドラもあり、ちょうどホームランを打ったところに乗り合わせていると、サインボールがもらえるんだそうで。

再び仙台駅まで戻り、すっかり空腹になりながらお目当ての牛たん店を目指し、仙台駅から国分町まで歩いてきた。
しかし、お目当ての牛たん店は今日は夜のみの営業らしい。やむなく近隣を探して、ようやくありついたのがひとつめの”ベロ”。時はもう14時近い。
そして、実はここも再訪という偶然が、あった。

そんな遅い食事であったこともあり、私たち親子の「午後」は、ちょうど東京エレクトロンホールから、だったのだ。
そんな私たちにとっての「午後の始まり」に聴く『牧神』は、まこと真に迫ってくるのだ。まずいまずい、執拗に絡みついてくる眠気を振り払った。1曲目から、そのくらいに雰囲気を纏った演奏であったと感じた。ふたつめの”ベロ”、素晴らしい演奏会でありました。また来ます。

みっつめの”ベロ”

コンサートを聴き終え、満足した気分でホールを後にする。
定禅寺通りに出ると、遊歩道のコンサートは相変わらず昭和歌謡を演奏していたのだが、耳に飛び込んできたのは「夜が来る」だった。
私が子供の頃に聴いた曲だが、この曲は晩酌の曲だ、ということくらいは私でも理解している。

この日の仙台は晴天に恵まれ、気温もめっぽう高く晩酌日和であった。昼食はついぞ2時間ほど前に食べたので、酒さえ飲めれば構わない。というより、むしろ欲しいのは酒だけ。
帰りの新幹線のことを考えてしまい、駅前で居酒屋を探そう、と移動したのが良くなかった。まだ6時前だというのに、居酒屋やバーといった店は、どこも人であふれかえっている。長男が良さそうな雰囲気の店に連れて行ってくれるのだが、あいにくどこもすぐには座れない。
こんなことなら国分町で飲んでしまえば良かった、と反省しつつ、結果、こういうことになった。

これはこれでいい経験だ。誰にも迷惑はかけてないと思う…思うんだよ…

ともあれ、かくも仙台はまたしても、楽しい街であった。
また来るね仙台。ありがとう仙台。






いつもサポートいただきましてありがとうございます。大変助かっております。これからもがんばります!がんばります!