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母子家庭 高額のローンで飄々(ひょうひょう)と生きる。

と 友人最強M子のはなし。
 
 チャッピーの友人の中にはなかなかのツワモノがいて
 きのう 母子家庭でパート生活しながら
 
高額のマンションローンを払いつづている
M子とひさしぶりに銀座で会った。

この彼女 数年前に夫の浮気で離婚。
マンションは離婚の条件として 母娘がそのまま住めるように、
 
毎月のローンは浮気の夫Gが
「養育費とともに支払います」とのことだった。 
そのため慰謝料なし、M子は離婚に合意した。

M子とはこどもが幼稚園のころからの おつきあいのママ友。
私が当時、この件にかかわったのは M子は魔が差したんだろう。
 
・・・・・数年前にさかのぼる・・・・・

人付きあいに なれ合いやもたれ合いをきらう彼女は
浮気のはじまったGの豹変に戸惑いながらも 
 
誰にも相談せずにすごしていたある日
「ランチしよ♪」とさそった

いつも脳天気なわたしに うち明けてしまった。
「離婚することになったんだ」
 
ふだんと変わらないかわいらしい舌足らずの口調で。
わたしは面食らった。
 
あまりにも思いがけないはなしで
しかもおだやかに話しているので。
 
仲がよさそうで、しあわせそうで

そんなことはありえない夫婦と
わたしは安心しきっていた。
 
人ってわからないね。
マジメなヒトって一途でコワイよ(G)
 
M子は連日連夜、離婚をせまるアタマがヘンになった夫に
恐怖とさすがにイヤけがさし

そうそうに離婚に応じようとしていた。
修復不可能のきまったものなら 前にすすむしかない。
 
そんなはなしを聞いたわたしは
自分の経験と知識で、たすけられることはないか。
 
まずは離婚と、母子家庭になったときにひつような 
知識となる本をすすめた。
 
そしてM子ののぞむとおりになるように
離婚後の、Gの義務と責任をはっきりしるした
公正証書を作成するために、司法書士に会いにいった。
 
そのあと
夫婦と親族は、はなしあいをしたようだ。
 
Gは不倫相手と即再婚。
 
そうして1年ほどしたある日 
「給料が下がった。家のローンを支払えなくなった」
とGから連絡がきた。
 
(よくある話だ・・・)
 
そんな流れで 毎月のローンはM子が支払い
そこに住みつづけている。
 
月々のローンは マジでかなりの高額。
(なんのための公正証書かわからなくなったけど
こんな理不尽は世の中ザラにあるよね)
 
「安い賃貸に引っ越せばいいじゃん」とか
「2つもパート掛けもちするくらいなら 正社員になれば・・・」
 
などなどのアドバイスは
周りからたっぷり言われてるであろう。
 
でも本人は 自分ができること、できないことをわかっている人。
腹をくくったのだ。
 
なので
私はおせっかいもそこそこにしている。
 
M子はずーっと主婦だったので 資格やスキル
運転免許さえもっていない。
 
そんな主婦だったひとが 夫の浮気と離婚に絶望せず
どうやって生活を維持しているのか。
 
パートをかけ持ちしてるにしても
たかがしれている収入で
 
夫がいるわが家でさえも、支払えないような高額のローンを
彼女はなぜ払えているのか。
 
なぜそんなに平気そうなのか。
なぜグチも悪口も出ないのか。

M子はもともとかなりの節約家。
それは知りあった若いときから しっかりしたものだった。
 
いまは まだ暗い早朝からバイトがはじまり、
仕事があがれば、そのままつぎのバイトへ直行。
 
夜遅くまで残業をして 実家により
(食事は助けてもらっているらしい)自宅へ。

この繰り返しを数年間、続けている。
毎日。
エブリデイ。

もちろん、子育てと家事も平行して
趣味や娯楽は皆無。
 
友人との気ままな飲み会に興じるよゆうなど 
1ミリもない。
 
この数年間 たった1日のやすみもなかった。

子供が卒業して働いてくれるようになり 少しだけ余裕ができた。
なので今日は早朝からひと仕事してきたものの
 
午後から出るバイトはおやすみをとって
わたしと ランチしている。
ふつうは耐えられない。

アルカトラズにだってホリデイぐらいはあっただろう。

「かたい意志と、つよい精神力だね~」と感心していたら 
 本人曰く
 
「とにかくなにも考えない。 ただ毎日をくり返す」
 
のだそうだ。
極意。

私も死にたくなったらそうしよう。

すごいよ、M子。
尊敬するよ。
 
なのになんでそんな、ヘラヘラして平気そうなの。
悲壮感がまったくないよ。
 
アタマは大丈夫か。おい。

ここには書けないくらい 離婚の件も
そして今だってほんとうは貧困と困窮の日々なんだろうけど

話す本人は飄々(ひょうひょう)としていて 
すがすがしい顔でいる。
 
ショーシャンクのようだ。

わたしは薄情者なので
「あるいみ オイシイハナシだよ。本にしろ」
とすすめたが「それは無理!」とのこと。
 
ならば
私がいつか小説家にでもなったら

彼女に起きたこと 
そしてなにも考えずに繰り返してきた日々のことを
書いてみたい。
 
そして売れたら印税の一部で
「こんなものいらないよう」
と彼女が言いそうな 
 
「黄金の招きネコ」なんかをシャレで買って贈ろう。
 びっくりするくらい 大きいのを。

これくらいのオチがあっていい。

浮気夫Gは現在、浮気相手と幸せに過ごしているのだろうか。
いや、ないな。
でも彼のことはもう、どうでもいいな。
 
それより M子の人生の方が
ずーっと絵になる。
 



うつくしい景色の中で まっすぐに立ち
おだやかに微笑んでいる彼女が わたしにはみえる。






で、彼女に触発されたのでわたしも
今月はお金を使わないケチケチな
 
「アルカトラズ月間」とする。
(働け) 

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