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中国、若者の「横たわる主義」が、先輩たち作った出世ルールに 「非暴力非協力運動」を起こしている。

帰国してからあっという間に三ヶ月が経ってしまいました。最近、中国はまた新しい変化が起こっています。今回は、経済発展促進するための新技術のことではありません。逆に、経済発展を妨げがち、社会的に大きい争議が呼ぶ、若者の提唱している「横たわる主義」が起こしている「非暴力による非協力運動」のことです。真正面から、先輩たちが作った社会の発展・出世ルールに抵抗しています。

企業家・専門家・主流媒体から若者の「横たわる主義」に対して強く批判しています。でも、わたしは、この運動が面白くて、今の中国にとって良いことかも、そして、進化に繋がるものかも、とちょっと嬉しく思っています。

中国の急速な経済発展とともに、中国の若者は何を考えているんですか。そして、彼らの考え方は、これからの中国の経済にどんな影響をもたらすか。このきっかけでご紹介させていただきたいです。

近年、中国の若者は経済の急激発展からもたらした社会圧力に対抗する、相次いで自分たちの時代宣言を表す、新しい言葉を創造してきました。最初の「佛系」から「丧」に、その次「丧」から「内卷」に、今は「内卷」から「躺平」に、心の不賛成な声がどんどんエスカレートしてきました。

「佛系(fo xi)」とは
直訳で、仏様スタイル。
SNS上の意味合いは、激しい競争に対し、全てをあっさりにする。争わない。自分らしく生きる。

「丧(sang)」とは
直訳で、デカダン。
SNS上の意味合いは、元気でポジティブに頑張ろうということに対し、たまには、ネガティヴでもいい。失敗してもいい、挫折してもいい。ネガティヴな自分も受け入れる。

「内卷(nei juan)」とは
直訳で、インボルーション。
SNS上の意味合いは、同業界での有限資源を勝ち取るために、内部競争が激しくなってきて、個人個人の努力の時間はどんどん長くなってきたが、努力の結果は変わらない。いわゆる、「努力のインフレーション」のことである。

「横たわる主義」とは

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中文で、躺平(tang ping)主義。「躺平」の直訳で、仰向けに横たわること。「躺平主義」とは、『横たわることはすなわち正義である』こと。
SNS上の意味合いは、マイホームを買わなくてもいい、車を買わなくてもいい、恋愛をしなくてもいい、結婚をしなくてもいい、子どもを産まなくてもいい、職場での昇進をしなくてもいい、というのが、欲が低く、社会的に認められた贅沢な暮らしはいらないことを指すという。
この言葉は、中国の投稿者「好心的旅行家」が「百度贴吧」に掲載した投稿、『躺平即正义(横たわることはすなわち正義である)』に由来します。
投稿者は、文の中でこう書いています。
「2年余り、仕事をせず遊んでいました。自分は違和感も不安もしなかった。圧力は、メインに、身近な人から自分のことと他人と見比べた後でかけてくれました。そして、年輩者の伝統な価値観から来ています。生活は、有名人の恋愛、妊娠といったニュースばかりに囲まれている、なんか見えない生き物が私たちをコントロールしようとする、彼らの考え方を私たちに押し付けようとする感じがする。人間って、このように生きる必要はないと思う。私は、ディオゲネスのように、バケツの中に横になって太陽の光を浴びたり、ヘラクレイトスのように、洞窟でロゴスを考えたりすることがしたい。私は自分らしい自分を創造したい。横たわることが、私のスマートな運動である。横たわるとなってから初めて、人間は万物の尺度になれる。」
彼は、二年間固定な仕事はないけど、気分が良い時、仕事へしに行く。一日2食、一ヶ月間200+RMB(日本円3200円ぐらい)しか使わない。用事はないとき、釣りに行ったり、水泳したり、トレーニングをしたりする。
一瞬、彼が提唱している「横たわる主義」がSNS上で広がっていって、若者の人気を博した一方で、企業家・専門家・主流媒体からの批判も殺到してきました。

企業家・専門家・主流媒体から殺到してきた批判の声

ある有名大学の教授は、こう発言している。
「横たわることは、親に申し訳ないことです、納税者のお金を無駄遣いにするという無責任なことです。自ら競争しないと、社会の優質資源はどんどん優質な資源を持っている人達に集約されてしまう、その結果、上流社会には貧乏出身な人はいなくなり、優質資源を諦めた人はなかなか上流社会に昇進できない羽目に陥る。」
ある企業集団のCEOは、こう主張している。
「横たわる族が起こしているこの非暴力非協力運動は、資本家を困らせると思い込んでいるでしょう。それは確かなことです。低欲望な社会になると、市場ニーズが減少になることにより、資本家は資本投資を減らします。その結果は、リストラしてしまい、最後に困っている人は、横たわる族自身です。横たわることで、資本家に対抗することで、社会を変えるといった考え方は甘いと思います。」
ある著名な媒体は、こう報道している。
「横たわることが、恥ずかしいことで、どこが正義なの?若者が一番頑張るべきな世代です。頑張ることこそ、幸せなことである。頑張る人生が、幸せな人生になる。頑張ることにより、社会発展に貢献することができる。頑張らず、横たわることを選ぶのが、若者らしい気質ではないないです。頑張らないと、困難・圧力を乗り越えない。ただ横たわることで、どうやって人生を変えるの?運命に妥協するのが仕方はないですが、横たわることはだめです。」

先輩たちが作った出世ルールに乗りたくない若者の本音

「鎌こそ、横たわることが嫌い者です。ニラを刈り取りたいから。わたしたちは、鎌に刈り取られるニラになりたくないです。」
「わたしは横たわることを選ぶのが、怠けようとするものだと思っていません。どんなに頑張っても、どんどん上がってくる生存コストに追いつかないので、スマートに生きようと思っています。」
「わたしは、誰のために生きることはしない。共感しない価値観に妥協して生きることもしない。わたしの人生は幸せであるかどうか、自分で定義するものだ」
「人間の考え方は、時代とともに変わるものです。今の私たちは、伝統的な家庭観とコンクリートな枠に束縛されたくないです。」
「何よりも、お金の奴隷になりたくない」
……

「横たわる主義」が生まれる時代背景

1、生きるコストが高すぎる社会
マイホームを買えるコストを例とする。
深圳の若者は食べずに消費せずに、43年ぐらい働き続けると、ようやくマンションを買える。北京の若者には41年ぐらい、上海の若者には36年ぐらい、広州の若者には34年ぐらいかかるそうです。
給与が毎年上がるんですが、住宅の値上がりに追いつかないのが厳しい社会現状です。

2、幼稚園からの競争に心が疲れてしまう
親の世代は、自分の努力で成功したり出世したりした世代である。親の目からすると、優れた資源は限られているので、人数多い競争者から勝ち取らないので、苦労する人生(=しんどいな人生)を送ることにつながる。ですので、子供に幼稚園から優勝者になってもらうためにいろんなスキールを勉強させて身につけてもらう。大学卒まで、すでに16年ぐらい競争環境に置かれているので、精神的に疲労してしまったようです。

3、親の期待から逃げたくて逃げられない家庭内のプレッシャー
優秀な親は、自分の子供は自分よりもっと優勝になってほしい。出世した親は、自分の子供は自分よりもっと出世してほしい。自分の人生に実現できていない夢を持っている親は、自分の子供にその夢を引き続き実現してほしい。
社会環境でも家庭内の環境でも、高圧の状態にずっといる若者たちはどんどん息苦しくなってきています。

「横たわる主義」が今の中国にとって良い変化を起こしていると思う理由

「方法が豊富ですけど、目的が貧乏なのだ」という言葉が、最近に耳に入った一瞬、なるほど!と気に入りました。まさに、私たちは今反省すべきことではないでしょうかと思っています。お金を稼ぐ方法、成功への方法、出世する方法、、、いっぱい考えて、いっぱい積み重ねているようです。でも、目的は何のためでしょうか。何のためにお金を稼ぐんですか?何のために成功するんですか?何のために出世するんですか?その目的は、単一で貧乏です。

「横たわる主義」は、表面上、頑張らないように聞こえるかもしれないですが、その目的は、1人1人のマインドマップによっては、豊かになるものと思っています。そして、人間社会という枠から飛びたして、人間と万物と地球との関係を見直すことができると思います。見直した上で、自分の幸せだけではなく、みんなで幸せになる生き方を選ぶことができるんです。

内面の豊かさ、今の中国にとって良いことだと思っています。

理由_01
低欲望が、外部発展から内面充実へ変わるきっかけとなっている。心身共の健康に繋がり、そして、幸せに繋がる真正の道が開いてくるものだと信じています。

理由_02
もしも、14億人は、必要なものだけ取るとなると、地球の長生きに貢献できるものではないでしょうか。

理由_03
お金で買えないものにどんどん気づき始め、ピース&ラブに溢れるワンダーランドになるものと思っています。

世界人口の1/7を占めている中国。もしも外側の世界の発展から内面の心の世界を探求することへ変わっていくと、中から外へ本当に豊かになると思います。そう期待しているし、そうなるように行動し始めています。


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