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電子書籍の論理目次、重要です

電書ユーザーの皆さん、目次ってご覧になったことがありますか?
漫画やごく短いテキストの場合、目次を確認しようと思ったことがない方もいらっしゃるかもしれません。紙本と同じく「本の冒頭にあるやつだよね? 最初の方にあるから後で見ることはないなぁ」という方もいらっしゃることでしょう。

実は電子書籍には目次が二種類あります。HTML目次と論理目次です。
HTML目次は紙本にもある『冒頭の目次』です。皆さんにお馴染みのやつです。noteの見出しみたいな感じで受け取っていただければと思います。
(一応漫画などの固定レイアウトでも目次ページがあったりしますが、どこへもハイパーリンクしていないので「目次が載っている画像ページ」で特別な機能はなく、この記事では扱いません)

noteでも長い記事などで見出しのある前の箇所を読み返したくなった時に「これ、いちいち上にスクロールするの? マジっすか」と思ったことはないでしょうか?

電子書籍には「いつでも見て、その見出しの箇所へジャンプできる目次」があります。それが論理目次です。小説の章で「この章から読もう」というのもできますし、短編集で好きな作品へ直接飛ぶこともできます。大変便利というか、ない場合かなり途方に暮れるほど必須の機能です。特に文章の場合はないと普通に死ねます。

使い勝手の悪いタイプの論理目次に悶絶している記事を書いたくらいすごく大事です。

上の記事を読んでいただけた方にはお解りでしょうが、商業出版の本でも使い勝手が大変悪い目次はたくさんあります。古い電書などすごく有名な作家さんの本ですらアレだったりするものも多いです。
細かな項目を網羅していなくても、せめてそれぞれの章へ飛べる程度の利便性がないと読み手にとってはかなりえぐいですし、大量の見出しができてしまったとしても、論理目次がないとあからさまに詰む料理本などの場合「うん、動画見に行くか」になってしまい、電書はそのままさようならになりかねません。

その、使い勝手に首を傾げるタイプの中で「何故こんな仕様に……?」と数年来途方に暮れていた仕様があります。「本文1~本文n」タイプの論理目次です。
全てのページに本文nの見出しがあり、どれが何のページか全く解りません。検索性ゼロです。
「これはもしかしたら読むなという意味か? 何を意図してこんなページを多くの人が設定しているのか?」と被害妄想気味だったのですが、やっとこの仕様がどこから来たものか判明しました。
CLIP STUDIO PAINT EXです。CLIP STUDIO PAINTの最上位バージョンにはepubを出力する機能があります。こちらの機能でした。
このフォーマットの電書はあからさまに漫画が多いことから、何となくそうじゃないかと思っていましたがやっぱりその通りでした。(ただし、EXのみにこの機能が搭載されているのは初めて知りました)

ワタシもCLIP STUDIO PAINT EXを持っているので、今回確かめてみました。

CLIP STUDIO PAINT EXでの論理目次表示サンプル(epubリーダーは超縦書です)

こちらは個人的に印刷した『ヒヅメ坂の子供達』の画像を使ってepubファイルを作成して、epubリーダーの超縦書で論理目次を表示したスクリーンショットです。

この本文n形式の見出しはわざわざ設定したものではなく、そもそも論理目次を設定する箇所はありません。epub出力したら必ずこのように出ます。
実際、同人誌くらいの長さなら、タイトルが解らず困ることはあまりないとは思いますし、読み進めていくのに栞機能があればさほど不便ではないでしょう。でも、多少でも長くなった日には「あ、第n回の2ページめ見てね」とかやったらかなりかわいそうなことになります。
論理目次で本編を表示していても、これでは「表紙」のみの論理目次と利便性はほぼ変わりません。
CLIP STUDIO PAINTを悪く言ってるようですが、本来CLIP STUDIO PAINTは絵を描くソフトです。epub出力機能は本来の機能ではない部分です。そこまで高機能なものがついている必要はそもそもないと思います。
epub作成のために別のソフトを使った方がより使い勝手のいいデータができるというだけの話です。

「でも、そのためだけに高いアプリを買うのもきついし……」という方もいらっしゃると思いますし、CLIP STUDIO PAINTユーザーの方でもCLIP STUDIO PAINT PROやCLIP STUDIO PAINT DEBUTのユーザーさんはその機能を使うことはできません。
そんな皆さんにはぜひ一度LeMEを試してみていただきたいです。


こちらは巻末にごくシンプルなLeMEのロゴが入りはするものの無料で使えます。それ以外の機能が限定されてもいません。ライセンスを購入すればこのロゴが入らないepubデータを作成することもできます。
もちろん画像原稿のページにもちゃんと見出しを作ることもできます。短編集のタイトルにちゃんと直接飛べます。料理本のメニューごとに見出しを作ってジャンプすることもできます。

LeMEで作成した電子書籍の目次です。html目次と論理目次を両方表示しています。(冒頭で論理目次を開いた状態です)


ぜひ一度LeMEをダウンロードして、何ページか分でサンプルを作ってみてほしいです。めちゃくちゃ便利で無料。ライセンスを購入してロゴ非表示にしても2000円、決して損はしない値段です。

そして、普段は電子書籍を読まない皆さん、特に自分で電子書籍を刊行していたり、したいなと思っている方はたまには電書を買ってみて「うおお、これが論理目次か」と見てみてください。
紙本なら手で前の方のページを開いて目次を確認できますが、電書では論理目次がない本は「目次が存在しない本」、中身が解らない見出しで全てが埋まっている本は「目次の代わりに無意味な記号が載っている本」なのです。
特に何作かの短編が入っていたり、章立てになっている本や、料理本などの細かな項目が必要な本を意識して見てみると、絶対役に立つと思います。

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