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性癖学:序章 最新特殊性癖「キビキビ洗脳」

さて、2024年2月現在、盛り上がりを見せている性癖が、
ポケモンの最新作で話題に上がっている「キビキビ洗脳」である。

ネタバレになってしまうし筆者は未プレイのため詳細は書かない(書けない)が、
こちらは『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット ゼロの秘宝』の番外編「キビキビパニック」で、
とあるポケモンの投げてくる何かを口に入れられてしまうと、
「キビキビー!」と言いながら奇っ怪なダンスを踊り始めてしまうというもの。


作中でもあらゆる有力なトレーナーたちがその餌食になっているが、
それを拡大解釈したものが一部の層に刺さっており、投稿系SNSで検索してみるとその数に驚く。

実際、筆者から見ても割と性癖である。
二次創作によって卑猥な身体付きに改変され、
普段凛々しい顔つき、可愛らしい表情のキャラクターが、
マヌケな顔でマヌケなことを叫んでいる状況。
それに形容しがたい興奮を覚えるのである。

この、決して一般的とは言い難い性癖がかなりの支持を受けているというのに驚く一方で、
自他ともに認めるドヘンタイである筆者は、これに既視感を覚える。
昔から似たジャンルの性癖が存在しているのだ。


ハイグレ洗脳」がそれだ。


『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』の作中にある、侵略者が発するビームを浴びてしまうと、
卑猥な衣装で「ハイグレ!」と叫びながら間抜けなポーズを繰り返し取ってしまうというもの。
こちらも目にしたことのある人は多いかもしれない。

こちらの映画が公開されたのは1993年であるが、未だに一部界隈ではネタが投稿され続けている。
30年前のネタが、未だに現役なのである。

つまりこれは、短期的な流行ではない。
筆者が知る限りでも、10年以上前から使い古された性癖なのである。
かく言う筆者も幼少期にこの映画をちらと見たことがあるが、今でもそのシーンを容易に思い浮かべることができる。
幼いながらに、何かを感じ取るところがあったのであろう。

そして、こちらもキビキビ洗脳と同じく、二次創作においてはあらゆるゲーム、アニメのキャラクターが何故か「ハイグレ光線」を浴びて無様な姿を晒している。
クレヨンしんちゃんとなんの関係もないキャラクターが、である。 
つまりキャラクター自体ではなく、「このキャラにハイグレさせたい」という謎の欲求があるのであろう。


更に言うなら、海外にもこういった性癖を持った人間が多数存在するようである。それは一部で、「BUZAMA」と呼ばれているとかなんとか。
日本は性癖開発の先進国であり、「AHEGAO」「OPPAI LOLI」「HENTAI」など、とみにこういったエロジャンルに関しては海外に輸出されている例に暇がない。
詳しく調べたいところではあるが、今後の課題としたい。

ここから分かるのは、時代、場所に関わらず、「ハイグレ洗脳」というものを性癖とする人間が居続けることを示している。
そしてその流れは根強く、性癖としては確立されているジャンルなのである。

その根底にあるのは、
普段凛々しかったり勇敢だったりする人物が途端に変質者に成り下がる、
所謂ギャップを愉しむものであり、自分より優れた人間を貶めたいというルサンチマンを満たすものなのであろう。

ルサンチマンというのはニーチェが提唱した、要するに『僻み、やっかみ』を表す哲学用語であるが、
この場合は自分より上の立場にいる人間が無様な姿を晒すことによってスッキリしたい、という衝動である。

それは年上であったり、上司であったり、普段自分が逆らえない、逆らうことのデメリットが大きいと考える人に対しての、
言いたいけど言えない、したいことができないなどのストレスと根源的な性的欲求が結びつき、こういった性癖が生まれるように思う。

ストレスと性欲を一度に解消出来るので、こういったジャンルは愛され続ける。
さらにクレヨンしんちゃん自体も息の長いコンテンツであり、結果として、『ハイグレ洗脳』は息の長いジャンルとして確立したのであろう。

そして、『キビキビ洗脳』も同じ道を辿る可能性が高い。
一つ違うところを上げるとするなら、『キビキビ洗脳』の方は衣装までは変化しないと言ったところだろうか。
これは二次創作をする上でプラスにもマイナスにもなる部分なので、今後の動向に注視したい。

そして最後に、この性癖の特徴として挙げられるのが直接的な『性行為』に及ばない場合が非常に多いというところ。
一番の興奮ポイントがキャラクターの無様な様子のため、いわゆる「挿入シーン」や「竿役」が必要ないのである。

『キビキビ洗脳』や『ハイグレ洗脳』が「特殊」と言われる所以がここにあるように思う。

別に無様な姿を楽しむのはこれらでなくてもいい。
極端な話、「脅迫して無様なことをやらせる」ということもできるわけで、実際にそういうことが性癖な人もいる。

しかしそういったジャンルは、「言うことを聞かせる」事が性癖であると考えられる。
自分より強大な力を持つものを、何らかの方法で言うことを聞かせたい、という欲求が強く表に出ているように思う。
そして、その結果として、その延長としての性行為に及ぶ場合が多い。


それを敢えて、原理のわからない不思議な力によって、
理由もわからぬうちに突然人間としての矜持や恥、外聞を捨て去ってしまうことにえもいわれぬ興奮を覚えるのだ。

言うことを聞かせたいわけではない。
同じルサンチマンの解消というところが根源にあるとは思うが、
解消の仕方は似て非なるものであると思う。

これらには人間の想像力や倫理観、破滅願望などが関係しているように思うのだが、
既にかなり長くなってしまったので一旦筆を置こうと思う。


というわけで、今回は初回のため、最近流行りのジャンルから手をつけてみたが、いかがだっただろうか。

末筆にはなるが、筆者は別段何かの専門家というわけではない。
一介の野生の変態で、人間観察が趣味の分析フェチに過ぎない。
哲学、心理学を独学で進めているだけのただの人間好きである。

そんな筆者の稚拙な分析を楽しんでいただければ幸いである。
お付き合い頂ければ幸いである。

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