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『タッチ・オブ・スパイス』

2003年のギリシャ映画。
監督・脚本は、タンス・ブルメティス。
出演は、ジョージ・コラフェイス、タソス・バンディス、マルコス・オッセ、バサス・コクルカヤなど。


「ひとつまみ」と言われて真っ先に思い浮かんだのが「調味料」でした。

そこで調味料が出てきたり、料理が出てくる映画はないかなと思い調べてみるとこの映画に辿り着きました。

辿り着くといっても、タイトルが『タッチ、オブ・スパイス』なので割とすぐ辿り着きました。

タイトルにある通り、スパイスが重要なキーポイントになっていて、料理も沢山出てくるんですが、ただの料理映画ではありません。

ギリシャの歴史的な背景が物語に大きく関わってきます。


主人公は天文学者で大学教授であるファニスという男性です。

冒頭で、ファニスの元に祖父が会いにくるという連絡がきます。
ファニスは料理の腕前がすごいらしく、祖父の友人を呼び、自慢の料理を作り出迎えようと準備をしますが、祖父がいないとの連絡がきます。

そして病院で誰かが運ばれているシーンになります。
この段階で誰が運ばれているかは映らないんですが、十中八九祖父であることは分かります。流れ的に。


そして場面が変わり、舞台は1959年のコンスタンチノープルになります。

なるほど、冒頭に現在のシーンがあって、過去を振り返っていくパターンですね。

この映画は大きく分けて3つの章に分かれています。

料理にかけて、前菜・メインディッシュ・デザートの3章です。
しっかりとテロップが入るので分かりやすい。

前菜 コンスタンチノープル時代(ファニス幼少期)
メインディッシュ アテネ時代(ファニス幼少期〜青年期)
デザート 現在

みたいな感じです。



ファニスは祖父っ子で、祖父のスパイスのお店に入り浸り、スパイスについて学びます。

祖父の教えでこのような言葉がでてきます。

「美食家ガストロノモスの中には天文学者アストロノモスが潜む。」

祖父は、惑星とスパイスを掛け合わせて、スパイスの効能をファニスに教えます。

地球に塩を重ねてファニスに教えます。
地球には生命が存在する。生命を維持するには食事が必要。食事には塩が必要。
食べ物にも人生にも、塩が必要だと。

ファニスは祖父のこの教えがあったので天文学者になったんですね。なるほど。

そして、この祖父のお店にやってくるサイメと恋に落ちます。
お店の2階で、2人でおままごとをします。
ファニスがサイメにスパイスのことを教える代わりに、サイメはファニスに踊りを披露します。

こんな幸せな時間がいつまでも続くのかと思いきや、突然の別れが訪れます。


そこで大きな要因となるのが、ギリシャとトルコの対立問題です。

ギリシャとトルコの関係が緊迫し、トルコに住むギリシャ人が強制退去となってしまいます。
ファニスの父が、トルコから出ていくよう宣告されてしまいます。

祖父と妻は残ってもいいと言われましたが、ファニス一家は3人でギリシャへと渡ります。


そこから、第2章のメインディッシュ(アテネ時代)に突入していきます。


祖父やサイメと離れ離れになってしまったファニスは、ここで料理の才能が開花します。

しかし、料理に没頭するあまり、学校の勉強が疎かになってしまったり、男子と遊ばずに女子とおままごとばかりしてしまい、もっと男らしく愛国心のある人間になれ、と父親や学校の先生に言われてしまいます。

きっとこの経験があったから、ファニスは料理人ではなく天文学者になったのではないかなと。



そんなこんなで青年になったファニスは、料理を続けていました。

しかし、それまでずっと祖父と会うことはありませんでした。サイメに関しても同じです。

祖父がファニスの元に会いにくるという連絡は度々くるんですが、その都度何かしらの理由によってそれが実現することはありませんでした。

祖父は、コンスタンチノープルから離れることができないと、父の口から告げられます。
それは父も同じ考えで、あの街は特別な街で、絶対に離れることのできない、世界一美しい国だと。

なぜこれほどまでに祖父はコンスタンチノープルに固執するのか。時代背景などをもっと詳しく知れば、その理由が少しは分かるのか…それとも僕の理解力が足りないのか…

時代背景を知っているといないとで、見え方がかなり変わってくる映画なんだと思います。



なんだか、まとまりがなくなってしまいましたが、結局ファニスと祖父はずっと会えないまま現在にいたります。

そして、冒頭の病院のシーンに繋がるわけですね。


病院にいる祖父はもう会話もできず、死を待つだけの状態。
ファニスは幼少期に別れて以来の再会。
涙まじりに祖父に語りかけます。
喋ることも目を開けることもできない祖父ですが、ファニスの問いかけに、彼の手元がスパイスをひとつまみ振りかける仕草をします。

ファニスと祖父は最後までスパイスで繋がっていました。


その後のお葬式で、ファニスはサイメと再会するんですが、2人がどうなるのかは、ご覧になってお確かめください。



この映画説明するのがちょっと難しくて、読みにくい文章になってしまいました。

ここには書ききれなかった出来事沢山ありますし、魅力的な登場人物も出てきます。

歴史的な背景や料理に関することがいっぱいでてしますが、そこには必ず家族がいて、特に食卓のシーンはどのシーンも魅力的で、食卓を家族で囲む時間は世界共通でかけがえのない時間なんだなと改めて感じました。



映画の内容メインの記事になってしまいましたが、自分の感じるがままにこの映画を観てもらいたいなと思います。

ギリシャとトルコが対立していたことを少しだけ知っていると、物語が入ってきやすいかもしれません。


以上、海上の映画noteでした。

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