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暴騰する現代アートは本当にバブルか?

美人投票化するアート価格

経済学者のケインズはかつて株式投資を美人投票に例えました。

これは自分の好みだけでなく、市場参加者の多くが値上がりするであろうと判断する銘柄を選ぶのが、有効な投資方法であるということを表しています。

また、株の価格は売り上げや利益から単純に算定できるものではなく、人気投票の側面もあることを表しています。

転じて、現在の現代アートの価格も人気投票で上位に来るアーティストの作品は際限無く上昇し、巷ではバブルとも囁かれています。

最近では東洋経済がアートの投資的側面にフォーカスした特集を組み、純粋なアートコレクターの間で物議をかもしました。

いまや現代アートは愛でて楽しむのではなく、売買して利益を出すモノと言うのが共通認識になりつつあります。

二分化するコレクター

アートを投機の対象として扱うことにNO!を突きつけているのが既存のコレクター達です。

彼らの話を聞いていると、ろくに鑑賞もせず購入した作品をその足で売りに出すような行動を嫌悪しています。

また、人海戦術を駆使して抽選販売されている人気の作品を掻っ攫う転売ヤーと呼ばれる人達も問題になっています。

このような投機目的だけで作品を購入する人達のせいで、純粋なコレクターが高額な転売価格でしか作品を買えず、対立が深まっています。

なぜこんなことになっているかと言うと今の現代アートの価格はプライマリーと呼ばれる一番最初の売り出し価格と、セカンダリーと呼ばれる2次流通価格があまりに乖離しているからです。

また通常はセカンダリーの値段は何年もの時間を掛けて徐々に値を上げていくのが普通ですが、今の現代アートは数ヶ月から数年で数百倍になることも珍しくありません。

この急激な価格上昇がバブルと呼ばれる一因でもあります。

結局なぜこんなに価格が上がるのか?

では、なぜこんなに現代アートの価格は上がるのでしょうか?

原因の1つとして、金融緩和で市場に溢れる投資マネーの行き先が株式などだけでは受け入れ切れず、仮想通貨と同様にアートがその受け皿になっていることは間違いないでしょう。

結果的に、単純に作品を愛でるだけのために持つには高過ぎるような価格推移をしているのがここ最近のアートの傾向です。

これはアートが鑑賞ではなく、資本主義においての「価値」だけのための道具として使われていることに他なりません。

これが純粋なコレクターが現在のアートシーンに感じている違和感の正体でもあると思います。

今の価格はバブルか?

これらを踏まえて、今の現代アートの価格がバブルかを検証したいと思います。

アートシーンが急激に資本主義の枠に組み込まれている現状を考えると、金融緩和とともに上昇する株価と同様にアートの値段も未だ上がり続けるでしょう。

しかし、実態をともなわない価格形成である限り市場から投資マネーが逃げるタイミングで急落することは十分にあり得るでしょう。

少なくとも永遠に上昇し続ける相場はないので、投機目的だけでアートを購入しようとしている人は注意が必要です。

また本当に資産としてアートを持ちたい人も、それが特定の人達によって人為的に作られたフェイクでない作品を選ぶことが大事です。

(※最近も米国の個人投資家の価格操作により数日で株価が数倍に乱高下するような銘柄が問題になりました。"ゲームストップ事件「個人がファンド破った」の幻想")

例えば、現代アートを取り扱う大手ECサイトのtagboatの代表である徳光氏による「教養としてのアート 投資としてのアート」では、資産価値のある作品の選び方が丁寧に解説されています。

アートを資産として持つこと自体に否定的な人もいますが、例え純粋なコレクターであってもアートが資本主義の中で"商品"としてどのように扱われているかは理解しておく必要があると思います。

最後に

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