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明智光秀からの…

 全てを疑ってかかるというわけではなく、目にしたもの耳にしたことをまんま鵜呑みにするのではなく、一旦自分の中に落とし込んで考えるという癖がいつの頃からある。その時のポイントは、なるべく色々な角度から考えてみるということ。

 10年ほど前から戦国時代を舞台にした本にはまりそれ以来何かしら常に戦国小説を読んでいる私。入り口は、三浦綾子著「細川ガラシャ夫人」。明智光秀の娘が主人公でそれまでの明智光秀像がガラリと変わった。一般的な認識同様、「三日天下」「裏切者」というイメージしかなかったが、誠実な篤い人柄が描かれていて更に知りたいと思い、明智光秀に関して書かれた本を手に取った。そこからは関連して出てくる武将や、剣豪、茶人、参謀のような役割を果たしていた僧侶や、画家に至るまで、関心が広がって読みたいものはとめどなく続く。

 それらを読み進めていくと、作家によって(作品によって)描かれる人物像はかなり変わってくるという事。ある作品では愚鈍なただの酒飲みのような描かれ方をしている武将が、他の作品では本当に魅力的で惚れこんでしまうような描かれ方をしている。様々な作家が描くものを読んでその人物の色々な側面が見えてくることも面白さが増してくる要因の一つ。

 きっと現在進行形の私たちの世界でも、同様なのだと思う。一側面でしかその人を、また物事を見られないなんてつまらないし、もったいない。同じ人を見ても同じ物事を見ても、同じ体験をしても、捉え方は本当に千差万別だと思う。どれが正解か不正解かはない。だけど、より多くの視点を知ることが出来てくると、自分の好みや何を良しとするかといった価値観はより鮮明になってくるとは思う。

 ニュートラルに人や現象をとらえつつ、自分の価値基準を照らし合わせながら、しなやかでありたい。

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