ハイヒール命!!
体重47.30kg、5,556歩。ピラティス。
「この歳でその高さ、履く!?」と友人によく笑われる。私の脚は、ふくらはぎが太く、ハイヒールを履くことで筋肉が上に集まり、ようやくほっそり見えるので、スカート姿の際、ハイヒールは必須なのだ。しかも一番脚が美しく見えるのは9.5cmのヒール。だから仕事の時もお出かけの時も、大体9.5cm前後のヒールを履いている。その高さで、かつ歩きやすい(=革にやわらかさがあり踵の部分が浅すぎず、踵が脱けない)靴は、9.5cmヒールを中心に創業した*国産ブランド「VII XII XXX セブントウェルブサーティー」か、靴そのものの美しさに見惚れてしまうジミー チュウがとても履き心地がいいので、それらばかり買っている。
それにしてもこのご時世、ハイヒールというのは時代錯誤らしい。デパートの靴売り場に行ってもハイヒールやパンプスは少なく、ハイブランドでもスニーカーやプラットフォームが幅を利かせている。若い人たちは綺麗めファッションでも足元はスニーカー、をオシャレに履きこなしているし、実際、好きじゃないならわざわざ履く必要はないと思う。
私はハイヒールが好きで、履きたくて履いている。ハイヒールを履ける生活だし、美しいものが好きだから。「ハイヒールが履ける生活」とは、通勤も車だし、日中ずっと立ったり歩き回ったりする仕事ではない、ということ。歩くことが多い日でもせいぜい半日なので、成り立っている。(観光やトレードショーで一日中歩き回る、とわかっている日は、さすがにスニーカーで出かける。)
そして、もう一つ、ハイヒールを履くための筋肉も発達しているのだろうと思う。ヒールを履けない理由の一つに、外反母趾になっていて痛くて履けない、という人の話を聞くが、私の足は変形していない。元々の骨格もハイヒール向きなのかもしれないが、加えて、ハイヒールを履くことが多いために、ハイヒールに適した筋肉が鍛えられたのに違いない。
そんな私もこんな高いヒールを履くようになったのは、実は、40代になってから。学生時代はヒールなんて滅多に履かず、20代のサラリーマン時代は5cm前後のヒールで生活していた。当時は8cmとか10cmのヒールを履くという発想すらなかったように思う。中学生の頃に読んだ佐藤愛子さんのエッセイに「牛若丸が一本下駄でひらりひらりと五条大橋の欄干を飛び回ったように、駅の階段も1段飛ばしで駆け上がるくらいでないとハイヒールを履く権利はない」という趣旨のことが書いてあり、ヒールを履くための矜持として刷り込まれていたので、試着しても「無理無理」と長らく思っていたのだと思う。
転機は大学を卒業して20周年の同窓会。当時は私の人生の中でもかなり辛くて暗い時代で、多分、同級生も「Grace大変だよね」と思っていたと思う。だから、みんなに憐れまれたくなくて、なんとしてもその瞬間だけは自分を綺麗にハッピーに見せたかった。それで、その会のために、服も買い、それに合う靴を買いに行ったのだった。ダイアナのショップで見たスエードのパンプスが綺麗で、一目惚れ。9.5cmヒールなんて履いたことなかったけど、脚は綺麗に見えるし自分もスラッと見えるし、何より、靴自体が素敵。一回の同窓会の間だけ頑張れば、と買ったのだった。それが、意外にも、歩きやすかった。二次会のホテルへの移動で結構歩いても、その後、お酒やおつまみを調達にコンビニに買い物に出ても全然苦じゃなかった。え?私ハイヒール履きこなせるんじゃん?と気づいたのだった。気づいてしまうと、それまで全く目に入っていなかったハイヒールの広告に目が行くようになる。そして色々な靴のデザインにうっとりするようになったのであった。Sex And The Cityのキャリーが靴に何百万も使っている様子が昔は全く理解できなかったけど、今なら、わかる〜、と、本当に靴に関しては遅咲きなのである。
その後、ファッション関係の会社との取引もある会社で本格的に働くようになったと同時に可処分所得ができてからは、靴に大して興味を持っていなかった青春を取り返すかのように、自分を美しく見せてくれる靴を買うようになった。貧乏性なので、自分を美しく見せてくれないなら、どんなにそれ自体が素敵な靴でも買わない。そして買うからには、履く。
一足だけ、靴そのものの美しさに魅入られてうっかり買ってしまって履けていないものがある。痛くて履けないのだ。「靴界のメルセデス・ベンツ」(?TVドラマ「ハリーズ・ロー」確かこんな比喩をしていた)クリスチャン・ルブタンのケイト(Kate)。「クリスチャンは、履き心地なんて全く気にしてないから。履いている立ち姿の美しさしか追求していない」との話なので、これはもう仕方ない。彼の作る靴は「Dinner Shoe」だそうで、車で出掛けてレストランで食事してまたすぐ車で帰る、その食事の間だけ履くための靴、ということなので、これまで2回しか履いたことがない。
あとは全て日常的に履いている。冒頭で書いた以外のブランドだとプラダとルイ・ヴィトンを持っているが、ピッタリ足についてきてくれる感はジミー・チュウが一番。高い買い物なので、他の新たなブランドはなかなか試せない。ジミー・チュウの10cmヒールは2時間半のライブの間ずっと踊り続けることもできるし、走れるし、そして、駅の階段を1段飛ばしで駆け上がることも、できるのだ。
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