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やる散歩〜青春フルパワー忍伝編Day5〜

前日の観光失敗を踏まえて、この日は朝早くから動くことにした。

目的地”くじらの博物館”の営業時間は8時半から。開館と同時に入って昼頃までに出ようと決めた。

時計を見る。7時8分。まだ1時間半近くある。博物館最寄り駅から数駅の宿に泊まったので、電車の移動時間はごく短い。「チェックメイト。」と呟き、余裕綽々シャクシャイン(?)といった面持ちで乗り換え案内を開く。

一番近い発車時間は7時15分。駅まで歩いて7〜8分だから、乗るとしたら次便だな──。乗り換え案内の「1本後」の文字をタップする。時刻が表示されると同時に、身体は遥か後方へ吹き飛び、宿の壁を突き破って銀河を4周した。飛び散った肉片が辺りにバウンドして元の肉体の形へ回帰し、意識を取り戻した後、再び画面を確認する。間違いない。10時5分発。なんと、1本逃すと次便は3時間後だったのである。田舎とはいえ、あまりにもな鬼怠運行だ。思わずFワードが口から飛び出しかかる。が、田舎にお説教している時間は1秒もない。余裕綽々シャクシャイン(?)の表情はとうに消え失せ、頭くらくらクラーク博士(??)といった面持ちで宿を飛び出した。

八門遁甲を8つ開けて全力疾走した

すぐに宿を飛び出し、脚力を全解放してひた走る。空気の摩擦と衝撃波で近隣の家を全て破壊しながら、なんとか7時15分までに駅に辿り着いた。漫画だったらトゲトゲの吹き出しがいくつも付くくらい「ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!」と声を出して息をついていたので、駅員に「なんか草」と言われてしまった。

駅の壁に描いてあった性格に難ありのクジラ
天国ってこんな感じかもしれない
生意気なこと言ってそう
ぐうかわポスト イルカver.
ザトウクジラver.
マッコウクジラver. 食っててかわいい
距離感ゼロ体験←言いたい事はわかるけど、無礼なイルカと遊べますという意味にも見える
支柱の位置か色変えんさい

博物館最寄りの太地駅に着いてから開館まで1時間程あったので、ゆっくりゆったり景色を見ながら博物館へ向かった。途中に道の駅があったが、まだ開いていなかった。博物館を見た後でお土産を買いに寄ることにした。

くじらの博物館前に着くとおよそ8時半で、予定通り開館と同時に入場することができた。この博物館は博物館と水族館が合体したような施設で、クジラやイルカに関する資料の他に生体の展示も行なっている。豊富な体験コーナーや地域の小学生が調べ学習で作ったポスターの展示だけでもなかなか見応えがあり、クジラやイルカのショーもやっているため、一通り見て回るのに予想以上に時間がかかった。開館直後に入っておいてよかったと思う。

いつか飼いたい
どうやって虫メガネ持ってるんだ
【悲報】カービィさん、和歌山で太陽になっていた・・・
小学生のノート 対訳付き
クジラ漁についての展示もある
謎のタイミングで大迫力のドスを利かせてしまうお子さん


12時過ぎに大満足で博物館を後にし、昼食のことを考える。この近辺の名物を調べると、クジラ料理やイルカ料理が有名ということだった。特にクジラ料理を出している店は結構たくさんあり、朝に通りかかった道の駅内の飲食店でも提供していた。選択肢が多く迷ったが、出している料理を見て、唐揚げと刺身を食べられる新宮駅の店で昼食をとることにした。道の駅では、その店で出していないイルカの刺身(スーパーで売ってる魚の刺身のようなパックで販売していた)を買った。

18きっぷ旅では食事時間の確保が意外と難しいことがある。今思うとここをケチらず余裕を持って動くべきだったが、昼過ぎの電車を1本逃すと次発が夕方近くなってしまうということもあり、少し焦っていた。この日は、太地駅で電車を待つ間の30分間か新宮駅で乗り換えを待つ40分間で食べるのが無駄のないタイミングだった。出している料理の種類のこともあったが、少しでも時間に余裕があるタイミングでと思い新宮駅付近で食べることにしたのだ。胃袋の容量も考えて道の駅の定食屋では何も食べなかった(なお、後に全ての毛穴から血を噴出するほどこの選択を悔やむ事となる)。

怖すぎる
お手頃価格

新宮駅に到着し、事前に調べていた店への経路を検索した。次の瞬間、全身の骨が爆破粉砕し、ゼリーのおばけのごとくズルルヌヌーーーーーンヌと地面に崩れ落ちた。そのまま70年ほど気絶した後、なんとか意識を取り戻して画面に目を戻す。何度見返しても「徒歩3時間」と出ている。おかしい。駅から徒歩数分の店だったはず。なぜ…………。

調べた時の検索画面を見返してみる。行こうと思っていた店はたしかに駅チカだが、紀伊勝浦駅という駅の近くの店だった。どうやら昨夜宿泊した”紀伊勝浦”の地名が頭に残っていて、検索ワードに入れて調べてしまっていたらしい。Why Japanese people!?

動揺している時間が長かったため、周辺の他の店に入って食べる時間も失ってしまった。失意の中、駅付近のコンビニへ入り、たぶん別に地域限定とかでもない信玄餅ジュースを買う。こういうコンビニのわけわからないジュースは大体好きだ。道の駅で買ったイルカの刺身をアテに、謎の餅ジュースを泣きながら啜った。

めちゃくちゃ信玄餅味でおいしい。粉1.6倍に関しては、何の?としか言いようがない
コロシテ定期

乗り換えで降りる駅の中に、三重県の紀伊長島駅という駅があった。そこで降りてから次の乗り換えまでに1時間ほどあったので、駅を出て散策することにした。駅周辺をGoogleマップで見ると、少し歩いた先に道の駅があった。この近辺ではマンボウを食べる文化があるらしい。道の駅でも食べられるかもしれないと思い、行ってみることにした。

「道の駅紀伊長島マンボウ」という変な名前の道の駅。に見えるが、下の英訳を読むと、「道の駅紀伊長島」が駅名で「マンボウ」の部分はただ駅名を書いた後に大きく「マンボウ」と書いただけというように読める(「マンボウ」が固有名詞ならMamboと表記するところを、一般名詞の「マンボウ」として訳しているため)。
「地獄に送って差し上げますよ」と言われた
さかなクンのゆるキャラがいた
パンジーとかを植えて、死んだ時に棺に入れてもらいたい

結果的に、マンボウ料理も食べることができなかった。とっくにランチタイムを過ぎており、道の駅内の飲食店が営業終了していたのだ。しかし、昨日からの絶望続きにより、この程度がっかりは何でもなくなっていた。ポケモンで言えば──もし絶望ポケモンというのがいたとしたらゼボ→ゼツボウ→ゼツボウスという風に進化していくはずである──ゼボくらいの落ち込みで済んだ。

売店自体は開いていたので、何か変わったものはないか、買ってその場で食べられる昼食はないか店内を見て回る。野菜や冷蔵・冷凍の食品が多く、調理せず食べられる物は少なかった。その中でもかろうじてすぐ食べられそうであまり食べたことのない物を購入。結果、黒蜜寒天(yes...)&いかマヨ刺身かまぼこ(what?)という宇宙最前線レベルに変な組み合わせになってしまった。外のベンチに座り、かまぼこにかじりつく。たまたま持ってきていたマヨネーズをかけて食べるとなかなかいける味だった。

道の駅から駅に戻ると、その後はひたすら電車移動を続け、夜には静岡に到着した。食事はかなりしくじっていたが、くじらの博物館が良かったので総合的には満足度は高い一日となった。

教訓:
・(昼ごはん)いつ食べるか?今でしょ
・イルカの刺身=馬刺し
・マヨネーズは神

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