珠玉…

   久しぶりに『座禅エクスタシー』を観たら良すぎて、や、良いのは知ってたけど久々に観るとハンパなくて思わず笑ってしまうくらいだったので勢いに任せてこれを書き始めた。

   『座禅エクスタシー』は私が初めて買った椎名林檎のライブDVDだ。今思うとこれを最初に買うの中々やばいな。なんでこれを選んだのかは忘れたけれど結果的には最良の選択だったと思う。このライブは平成十二年七月に行われたからまだ私は生まれていない。椎名林檎がアーマーリングはめてデューセンバーグを使っていた頃、師匠の頭はとんがったモヒカンでギターは弥吉淳二さんの頃だ。この頃のようなライブを今の椎名林檎に求めることは絶対にないが、事変含め過去の全てのライブの中で何がみたかったと思うって、ダントツでこの座禅エクスタシーだ。派手な舞台演出や衣装替えはないし、MCは超無愛想かつ短い、が、着物に切りたてのボサボサの髪型で歌う椎名林檎はめちゃくちゃに魅力的で、存在感もものすごい。でもまあ多分「椎名林檎」というレッテルや内側との乖離にうんざりしていた時期なんだろうな、というのは感じるけれど。

   思えば初めて家でこのDVDをみた時も、雷に打たれたような衝撃だった。一緒にみたお母さんも私もあまりの迫力に呆気に取られお母さんは途中で一言「こわい…」と言う始末。まあ共感はできるので苦笑いするところだけど、それ以上にイカしてて、なんやかんやお母さんも「積木遊び」にハマっていた。

   なにがやばいってもうセトリがやばい。だって一曲目からその「積木遊び」だもん。しかもその後に「眩暈」がきて「茜さす 帰路照らされど…」やら「サカナ」やら「弁解ドビュッシー」やら。極めつけはアンコールの「日本にうまれて」だろうな、やっぱり。今では生で聴けることはもうないのでは、と思うような曲のオンパレードでこの映像を円盤化してくれて良かったと心底思う。個人的には「アンコンディショナル・ラブ」とカバーの「マイラグジュアリーナイト」が特に最高。このライブの時の声のかすれ具合は神がかっていると思う。

「眩暈」は2018年のライブ真空地帯でこの時ぶりに披露されて、ファンの度肝を抜いた。私なんか真空地帯が初めての椎名林檎のライブだったから眩暈のイントロを聴いた瞬間、リアルに全身が固まって死ぬんじゃないかと思った。その次の「少女ロボット」も真空地帯で演奏されたけれどアレンジが最新版だったな、座禅の時はもっとロック調で私はこちらの方が好き。あと「病床パブリック」の時に"レスポールは絶対黒"の歌詞に合わせて弥吉さんがギターを掲げ椎名林檎がそれを指さすのも大好き。本当に全曲好き要素が語りきれないくらい詰まっている。座禅を観て好きになった曲も多いかもしれない、と今回改めて感じた。

   座禅をみた後にそのまま真空地帯の『眩暈』を続けて観たら、時の流れにクラっとした。この人はもう本当に魅せ方がバケモンだな…。映像作品を観ていて一番ドキドキする。東京事変のニュースフラッシュの円盤もとても楽しみ。



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