見出し画像

最先端はどのようにつくられるか

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 ボルドリッジは米国マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)の「審査基準」であり、それをもとに自己診断・審査を行います。それだから、基準がころころ変わるようでは困ります。しかし一方で、古びた基準のままでは、いまの時代の経営に有効に活用することはできません。

 ボルドリッジは、2年ごとに改訂され、時代にあったものに進化していますが、その変化は漸進的です。

 最新は2021-2022版で、昨年2021年1月にリリースされました。そしていま、次の2023-2024版に向けた改訂の準備が始まっています。

 次のようなメールが2022年1月5日に届きました。標題は「ボルドリッジ・フレームワークの次のバージョンに関する意見を求める」。

ボルドリッジ・コミュニティメンバーの皆様、

 長年にわたり、ボルドリッジ・コミュニティは、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークおよびその審査基準が、検証されたリーダーシップとパフォーマンスの実践の最先端を代表し続けることを確実にする方法について、ボルドリッジ・プログラムに情報を提供する上で不可欠な役割を果たしてきました。このプログラムの到達目標は、組織が持続可能な卓越性を達成するのに役立ち、米国におけるロールモデルとなる組織を特定すること、そして、効果的でユーザーフレンドリーなツールとしてフレームワークを維持することです。
 審査基準が常にその最先端を代表するようにするために、ロールモデル組織から、そして、それらの組織とそのCEOの調査から、継続的に情報を収集します。また、ボルドリッジ・コミュニティ内外の有力な思想家からの意見を求めています。
Seeking Input on the Next Version of the Baldrige Frameworkより。翻訳 by Google &筆者)

 そう、これはその「ボルドリッジ・コミュニティ内外の有力な思想家(leading thinkers)からの意見を求め」るメールですね。
 ここでは、特に次のような洞察を求めています。

・あなたがあなたの組織/業界で直面している(あるいは、あなたが一緒に働いている組織で見ている)最先端の、戦略的で、競争上の課題は何ですか?
・成功と持続可能性の長期的な推進力にどのような変化がありましたか?
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークとそのパフォーマンスエクセレンスに向けた審査基準を改善するための、具体的で実用的な提案は何ですか?

 そしてこれらの質問への回答を2022年5月23日までに提出することを求めています。そしてこれらすべてを入力として、次のように改訂が進められます。

1.改訂のテーマを共有し、回答と反応を求め、矛盾する改善提案を調整します。
2.2023-2024版審査基準の草案を作成し、思考プロセスに影響を与えた専門家を招待して、改訂に助力いただき、レビューします。
3.ボルドリッジ・プログラムの2つの諮問委員会 (ボルドリッジ監督委員会と 審査員パネル)、および、その考え方やコメントが審査基準の重大な改訂につながった人々にも、審査基準の草案を送り、回答とレスポンスを求めます。
4.この入力を使用して、2023-2024版パフォーマンスエクセレンスに向けた審査基準(企業/非営利組織編)の最終バージョンを作成します。
5.教育編とヘルスケア編の審査基準を企業/非営利組織編の審査基準に合わせて改訂し、レビューのために各セクターの専門家のグループに送ります。

 改訂ごとの重要なテーマが、このように、これまでのボリドリッジ賞組織などロールモデルの組織を中心として、実務に携わっている多くの人たちの実際の実践をベースに選定されていることがわかります。

★★

 筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。

 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?