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量と質は裏腹である

 ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】の共訳者、田中典生氏は、情勢判断と脳力開発の専門家である。その田中氏から、「脳力開発指針集」(城野宏 監修、 平野耕一郎執筆・著作、1981年刊)についてその要点を聴く機会があり、参加した。

 その話の中に「量と質は裏腹である」という言葉があった。気になったので書き留めておく。

 そこでの説明はこうだ。

例えば、1円玉があったとして、それ自体は大金ではない(1円の価値)。しかしそれが1億枚あったらどうか。それは大金だ(1億円の価値)。
量が増えれば質は変わってくる。

 ビジネスの世界では、量と質を同時に追求することは難しいように見える。
 実際、最近ニュースになった大手自動車販売店の点検不正も、量を追求したために、時間すなわち作業を減らすことで発生した。

 量と質の関係について、改めて考えてみた。

例えば、ここに不良品が1つある。これ自体は、質としては低い(役に立たない)。
しかし、これが10万個製造した中の1つ(ほかの99,999個は良品)であったなら、10万個の製品の品質は高いと評価される。

 これも量によって質が変化する例と言える。

 全体をどう捉えるかによって、見方が変わってくるとも言える。「常に全体は何かを考える」ということであれば、それはまさに脳力開発の話になる。

 時間の概念も加えると、さらに別の例も挙げられる。

量をこなせば、仕事の質が上がる。

 学校で、数学の問題を数多くこなせば、点数が上がった。

量をこなすことで、コストが下がる。

 経験効果と呼ばれている。

 「量と質は裏腹である」は、頭に置いておくとよいというのが田中氏の助言であった。

★★

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の経営フレームワークです。筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。







 

 



 

 


 

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