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ボルドリッジの頭脳中枢を見る

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、組織のパフォーマンスを向上するための最も重要な質問集です。質問に答えることで自ら気づき、改善を繰り返していくことで、現在と未来の成功を確実なものにしていきます。
 カテゴリー4.測定、分析、およびナレッジマネジメントは、あなたの組織が、①データ、情報、および知識資産をどのように選択し、収集し、分析し、管理し、改善しているか、②レビューの気づきを使用してどのようにパフォーマンスを改善しているか、そして、③どのように組織として学習しているか、を尋ねます。

 これを「組織パフォーマンスの測定、分析、改善」「情報と知識の管理」の2つに分けて尋ねます。

4.1組織パフォーマンスの測定、分析、改善:どのように組織のパフォーマンスを測定し、分析し、そして改善していますか。
4.2情報と知識の管理:どのように組織の情報や知識資産を管理していますか。

 パフォーマンスを効果的に測定し、分析し、改善すること、および組織の知識を管理することに関する主要なすべての情報が、改善、イノベーション、および組織の競争力を推進することは、ボルドリッジ審査基準における中心的なポイントです。

 最も簡潔に表現すると、カテゴリー4は、業務運営と戦略目標に一貫性を持たせるための「頭脳中枢」であると言われています。

 カテゴリー4の質問の背景にあるのは、ボルドリッジの核となる価値観と概念にある「事実に基づくマネジメント」です。 

事実に基づくマネジメント
 事実に基づくマネジメントは、組織内および競合環境の両方で、組織のパフォーマンスを測定し分析することを求めます。評価尺度はビジネスの必要性や戦略から導き出される必要があり、主要なプロセス、アウトプット、結果、成果(outcome)、競合他社および業界のパフォーマンスに関する主要なデータや情報がもたらされなければなりません。組織は、パフォーマンスを効果的に管理するために、多くの種類のデータと情報を必要とします。データと情報は、数値、グラフィック、定性などのさまざまな形式で、内部プロセス、調査、インターネット(ソーシャルメディアを含む)など、多くの情報源から提供されます。パフォーマンスの評価尺度には、顧客、製品、およびプロセスのパフォーマンスの測定、運用、市場、および競合のパフォーマンスの比較、サプライヤー、従業員、パートナー、コスト、および財務実績、ガバナンスとコンプライアンスの結果、戦略目的の達成を含めることが求められます。
 パフォーマンスの向上と変革の管理(change management)における主要な考慮事項は、パフォーマンスの評価尺度あるいは指標の選択と使用です。選択する評価尺度あるいは指標は、顧客、業務運用、財務、および社会のパフォーマンスの向上につながる要因を最もよく表す必要があります。顧客および組織のパフォーマンスに必要とされる要件と結びついた包括的かつ慎重に選別された一連の評価尺度あるいは指標は、組織の到達目標にすべての事業活動を整合させるための明確な根拠を示してくれます。評価尺度と指標は、急速に変化する環境においてあなたが意思決定を行うことを支援します。プロセスの追跡によって得られるデータの分析を通じて、評価尺度または指標それ自体を評価し、それらが到達目標により役立つものへと修正することができます。
 分析とは、データと情報からより大きな意味を抽出して、評価、意思決定、改善、および革新をサポートすることを意味します。データを使用して、それ以外では明らかにならない傾向、予測、および因果関係を決定する必要があります。分析は、計画、全体的なパフォーマンスの確認、運用の改善、パフォーマンスを競合他社のベンチマークまたはベストプラクティスのベンチマークと比較すること、変更の管理など、さまざまな目的をサポートします。分析を容易にするために、さまざまなソースからデータを集約する必要がある場合があります。また、より深い理解を得るために、市場、製品ライン、従業員グループなどによってデータをセグメント化する必要がある場合があります。
(Baldrige Excellence Framework 2021-2022より。翻訳筆者)

 ボルドリッジが目指すのは、組織のパフォーマンスの向上と組織の変革です。そこで重要なのが、パフォーマンスの評価尺度・指標の選択と使用です。
 タイトルにあるボルドリッジの概念図でも、それが下に置かれていて、ほかの6つのカテゴリーを支えているのがわかります。

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 ボリドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


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