見出し画像

イノベーティブ人財のモチベーションの向上

 「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」を活用した内部統制の仕組みづくりでは、内部統制に関わる組織経営のプロセスを8つの側面(カテゴリ)に分けて、質問を通じて具体的に仕組みに落とし込んでいきます。

 カテゴリー7.環境変化に合わせたイノベーションの実現について見ています。

 イノベーティブ人財のモチベーション向上に必要な要素を確認します。

7.(10)イノベーティブ人財のモチベーションの向上
 イノベーションに係る職員は、その働きを正当に評価され、その結果が給与、昇進、報奨に適切に反映される仕組みとなっていますか。

 イノベーションを生み出す組織に必要なのは、支援的な環境、イノベーションの対象(ボルドリッジでは戦略的機会)を特定するプロセス、および取るべきリスク(ボルドリッジではインテリジェントリスク)を追求する意欲です。

 「支援的な環境」は、イノベーションを許容し推奨する環境です。イノベーションのために許容する必要のある重要なものは2つあります。「変化」と「失敗」です。
 慣れ親しんだ仕事のやり方を変えたり、自分の考えと異なる意見を受け入れることは、多くの人や組織が苦手とするところです。ボルドリッジは、組織に継続的改善の仕組みを入れ、それを日常的な習慣とし、組織文化とすることによって「変化」を許容する環境を作ります。改善はそれまで行っていたやり方や考え方を変えることで生まれます。小さな「変化」を継続的に行う仕組みです。
 失敗したくない、という思いは、多くの人、組織にあります。仕事上で失敗すると評価が下がる、というのであれば、猶更です。しかし、新しいことに取り組むには失敗はつきものです。大切なのは、失敗から学ぶことです。それが致命的な損失を組織に与えるのでなければ、チャレンジを認め、もし失敗してもそれから新たな知見を得て、次に生かします。

 こうしたことをイノベーティブ人財の評価に取り込みます。

 経営革新に向け、イノベーティブな行動をとった時、うまく行かなかったり、成果につながらなかった場合に、マイナスの評価を受けることなく、プラスの評価が受けられるようにします。
 人事制度の評価基準を、
一位「イノベーションに挑戦して、成果が出ている」、
二位「イノベーションに挑戦して、成果がまだ出ていない」、
三位「現状の仕組みを維持するだけだが、成果が出ている」、
四位「現状の仕組みを維持するだけで、成果が出ていない」
の順で運用します。
 「掲げた目標が達成できなかった」ことは、能力がない証拠だという発想ではなく、「目標が達成できなかった」ことは、学べる材料が手に入ったという発想で、発見から学ぶ(トライアル・アンド・ファインディングTM)ようにします。
 イノベーション目標の達成率が90%で終わった時、「なぜ、残り10%達成できなかったんだろう?」というテーマだけに時間をかけるのではなく、「なぜ、90%まで達成できたんだろう?」というテーマにも、取り組みます。

 イノベーティブ人財やそのチームのモチベーションが高まるための仕組みを定期的に確認し、改善を行っていくことが大切です。

★★

 内部統制評価基準改訂版「内部統制評価基準 勝ち抜く会社の800のポイント」については、NPO法人内部統制評価機構のウェブサイトをご覧ください。

★★

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の経営フレームワークです。筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?