戦略の立案において重視すべきこと
ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、組織のパフォーマンスを向上するための最も重要な質問集です。
カテゴリー2.戦略では、戦略目的と実行計画を策定し、それらを実行し、状況に応じて変更し、進捗状況を測定する方法を尋ねます。
戦略のカテゴリーは、長期的な組織の成功と競争環境が重要な戦略上の課題であるとしています。このため、組織全体の計画において不可欠の要素としてこれらの課題を組み込みます。
組織のコアコンピタンスと業務システムに関する意思決定は、組織の現在および将来の成功を確実にするための不可欠な要素であり、したがって、これらの決定は主要な戦略的決定事項です。
多くの組織は戦略の「立案」に次第に熟達していく一方で、計画の「実行」は依然として大きな課題です。
特に現在の市場の要求は、俊敏であることと、変動の激しい経済状況や、市場を混乱させる可能性のある破壊的なテクノロジーのような予想外の変化に備えることを求めていることから、猶更です。
したがって、このカテゴリーでは、実行計画の策定だけでなく、計画を実行する能力にも強く焦点を当てています。
戦略策定に用いる方法やフレームワークは様々提唱されていますが、ボルドリッジでは、どれがよい、といようなことは示していません。
これに代えて、ボルドリッジ・フレームワークは、戦略の立案に重要な組織の卓越性の3つの主要な側面を挙げています。
①顧客に焦点を当てた卓越性
顧客エンゲージメント、新たな市場、および、市場シェアを推進する要因、すなわち、競争力、収益性、および組織の長期的な成功の主要な要因に焦点を当てます。
②業務のパフォーマンスの向上とイノベーション
業務のパフォーマンスの向上とイノベーションは、短期および中長期の生産性の向上とコスト/価格競争力の強化に寄与します。組織の適合性を強化するために、スピード、即応性、柔軟性などの運営能力の構築に力を注ぎます。
③組織学習と働き手の学習
今日のようにペースの速い環境のもとでは、組織としての学習および従業員一人ひとりの学習は、戦略的にも考慮が必要な事項です。ボルドリッジは、改善と学習は業務プロセスに組み込まれる必要があるということを強調しています。日々の業務の中に、改善と学習を組み込みます。
戦略の立案が果たす特別な役割は、業務システムと学習の動機づけを組織の戦略の方向性に整合させ、それによって改善と学習が組織の優先事項となり、確実に実施されるようにすることです。
例えば、戦略を実現するために、戦略計画では、どんなスキル(場合によっては資格など)を持った人がいつまでに何人必要かを明確にします。実行段階では、それを個々人の育成計画に落としていきます。
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筆者らGQFが翻訳した「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。