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タイさんの取材ヨレヨレ日記⑯ 年末年始はパーティーの連続

年末年始はパーティーの季節。様々な業界団体や企業が「年末懇親会」や「賀詞交歓会」といった名目で、ホテルの大広間を借り切ってのパーティーを開催します。
 
最も有名なのは、年明け早々に開催される「経済3団体賀詞交歓会」でしょう。日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の「財界3団体」が主催し、主要な経済人や政治家を数多く招いて、とても規模の大きなパーティーを開催します。会場の出入り口には多くのテレビカメラが待ち構え、各テレビ局の女子アナが著名な経済人たちを捕まえて、新年の経済見通しなどをインタビューするシーンを撮影します。新春ニュースの恒例になっている光景ですね。
 
私たち経済記者はパーティー会場に入り込んで、お目当ての経済人に張り付きます。「社長、今年もよろしくお願いします」と新年のあいさつをしながら、前年から追いかけてきた気になるテーマについて、密着取材を敢行します。
 
ある業界団体のパーティーで、印象的なシーンを目撃しました。その団体のトップである大手メーカーの社長が年頭のあいさつをして、ステージを降りてきた時です。会場に来ていた十数人の政治家たちが、その社長を一斉に取り囲みました。
 
「なにが起きたんだ?」

驚いて駆け寄った私は、政治家たちの言葉を聞いて、すぐに事情を理解しました。

このメーカーは前年から、いろいろなメディアで「新たな大規模工場の建設を予定」と報じられていました。もし、地元に新工場が建設されれば、多くの雇用を生み、膨大な経済効果をもたらします。

「新工場はぜひ、我が地元に」

社長を取り囲んだ政治家たちは口々に、工場誘致の陳情をしていたのです。誘致に成功すれば、選挙区で「私の手柄」と盛大にPRするのでしょう。
 
年末年始のパーティーには、様々な人間模様が渦巻いているんです。

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