2.なんで確定申告なんかしなきゃいけないのか

公認会計士兼税理士芸人のGパンパンダ星野です。
「なんで所得税の確定申告なんて面倒なことしなきゃいけないんだ?」という永遠の疑問にお答えします。

そもそも所得税というのは、ざっくり言うと「所得」に「税率」をかけて計算されます。

<所得税=所得×税率>

所得というのは、もうけの額、利益の額です。(収入ではなく、利益です。全く違う意味なのでご注意を。それについての解説は次の記事で。)

所得税の税率は、もうければもうけるほど高くなります。
その人の1年間の所得の合計額に応じて、最低5%から最高45%までの間で変動します。そしてそれぞれに、「控除額」というのも設定されています。

国税庁が出している税率及び控除額の計算表がこちら。

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具体的な計算式が難しいな~と感じたら、とりあえず(儲けたら税率上がる~)くらいの認識で大丈夫です。

そして、儲け方には色々な種類があるわけです。僕の相方だって、Gパンパンダ一平としてお笑いの仕事でお金をもらっているだけでなく、岡部一平という本名でバイトをしてお金をもらっていたり、
もしかしたら仮装通貨とかギャンブルでめちゃくちゃもうけていたりするかもしれない(だとしたら半分下さい。僕がネタ作ってるんだから)。

つまり、その人が1年間合計でいくら儲けたかというのは、本人にしか分からないので、自分で1年間の所得の合計金額を自己申告し、そこに税率をかけて(控除額も引いて)、正しい所得税額を出すというのが確定申告です。

ですが……現実問題として、確定申告やってない人って、日本中にまだまだいますよね?
申告をしなければ、所得税を納めずに済んでしまうのか?

そうならないように、「源泉徴収」の制度があります。

バイトや仕事の給与・報酬明細で、支給額から税金が引かれて、手取りがちょっと小さくなっていた経験ありませんか?
あれは給与・報酬の支払主が、「この人は大体これくらいの所得税を払うことになるだろう」とざっくり計算した税額を、毎月の給料や報酬からちょっとずつ引いて、国に納めていたんです。
源泉徴収があることで、所得の申告を怠っている人からも、ある程度所得税を取ることが出来るのです。

しかし、源泉徴収はあくまで概算です。
その人が実際にいくらの所得税を払うことになるかというのは、一年間の様々な所得の合計金額を出して、そこに税率をかけてみないとわからないのです。

そこで確定申告により正しい税額を計算して、源泉徴収された金額との差額が出た場合、払う税額が足りていなければ納付し、逆に源泉徴収されすぎていた場合には、払い過ぎた税金が手元に返ってくることになります(払い過ぎた税金が手元に返ってくる申告を、「還付申告」って言います)。

お笑いの仕事ってだいたい税率10%として源泉徴収が引かれるのですが、若手芸人の所得からするとこれは引かれすぎのケースが多いので、「確定申告するとお金が返ってくる」というのが通説になっています。

【ちょっとややこしいので、まとめ】
①毎月の給料や報酬から、源泉徴収によって所得税がさっくり引かれている。
②でも正しい所得税額は、1年間の合計所得金額が分かってから、そこに税率をかけないと計算できない。
③そこで確定申告をして、自分で正しい所得税額を計算する。
④源泉徴収されていた金額と、計算された正しい所得税額を比較して、もっと所得税を払う必要があったなら、追加で所得税を払う。源泉徴収されすぎだったら、払いすぎていた源泉徴収税額が手元に返ってくる。


◆確定申告をしなくていい人達◆
会社員で、会社の給料のみで生活している人等は、その人が1年間合計でいくらもうけたか会社側で把握できるので、確定申告が不要になります。その場合本人の代わりに、勤め先の会社が所得税の計算をやってくれるのが、「年末調整」です。
芸人には関係のない話ですが、会社員の方向けに念のため書くと、
・勤め先が1か所でも、給与の収入が2,000万円を超えたら確定申告が必要になります。
・副業の合計の所得が20万円を超えたら、確定申告は必要になります。
・副業の合計の所得が20万円を超えない場合、所得税の確定申告は不要です。
(そのかわり、住民税の申告が必要になります。)

この記事のメインターゲットが個人事業主なので、すみませんが会社員の方向けの情報は一旦ここまで!余裕が出来たら追記します!

投げ銭も事業所得に計上する所存です