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ひかりあれ

 「入所日」という言葉はジャニーズ事務所所属のアイドルを応援するようになるまで、あまり耳馴染みのないものだった。それを祝う習慣があることも。
 入所日はアイドルとしての誕生日のようなもの、ととらえている。アイドルになること、そして入所○周年、の数字が増えていくことは決して当たり前のことではなく、だからこそ尊くめでたい。

 彼は得意とする歌をはじめ、ダンスや演技、MC等々さまざまな面で着実で確かな成長を見せてくれる。アニメや映画、各種舞台やさまざまなアーティストからインプットを怠らない姿勢。撮影がハードでコンサートのリハーサルにもなかなか参加できないような多忙な日々の中でも舞台や各種コンサートの見学に足を運ぶ研究熱心さ。某番組では「日頃のレッスンから早覚えを意識するようになった」と言っていた。
 昨年の今頃、入所したての彼の映像を見る機会があった。春になると話にあがることが多い。折にふれて笑い話にされることもある、ひどく青白い顔をして自信なさげに踊っている13歳の少年。その姿を見たあと今の彼を思うと、これまで彼が7年のアイドル生活で重ねてきた途方もない努力が想像できて胸が苦しくなる。彼が今みたいに歌えるようになるまで、踊れるようになるまで、舞台上で堂々と立ち、笑顔でいられるようになるまでどれほどのトライアンドエラーを重ねてきたのだろうと。それは昨年の彼を見ていて強く感じたことでもある。人の心を動かし惹きつける歌や演技などの表現の裏に、歌って踊るときに見せる花がほころぶような柔らかい笑顔の裏に、どれほどの研鑽があるのだろう。彼は決して言わないけれど。
 もしかしたら彼は、陰の努力を想像されることもあまりよくは思わないかもしれないけれど、私は彼のそういったところをとても尊敬している。やろうとしてもなかなかできることではないから。それでいて、本人はいたって柔らかでフラットな雰囲気を纏っている。私は頑張ったことや工夫したことは褒めてほしくてここぞとばかりに口に出してしまうタイプだから、そういったフラットさを眩しく思う。たまに心配になるけど、それこそ余計なお世話かもしれないから私はファンレターで心身の健康を祈ることしかできない。どうか美味しいものを食べて、好きなコンテンツに触れて、心を許せる人たちと過ごして、たくさん寝ていてほしい。

 彼は今、伝統あるシリーズ作品の撮影をしている。相当なプレッシャーもあるだろうが、その世界観の中で役として生き、感情の機微を表現する彼はやっぱり眩しく輝いていた。アイドル8年生となるこの1年も、彼にとって実り多く豊かなものであると確信している。

p.s 全公演完走おめでとうございます!

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