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ようこそ 犬語の世界へ 1回の成功のための100回の毎日。

日本は四季という区切りがあるが、四季の中に梅雨を入れても良いんじゃないかと思う。

今は少々の雨など気にせず犬との散歩をすることが楽しくて仕方がない。
雨に濡れる花びらのひとつにも、その花を検索する時の、その美しさを見いだせる喜びは犬たちが教えてくれたものだ。

犬たちが嫌だと言い出さない限り、雨の散歩もケアギバーとして犬たちとの日々を共有していきたいと思っています。


我が家には現在犬という生き物が2頭いる。

プロフィールには3頭になっていて、あれ?と思われる人もいると思うが、昨年の今頃、タービュレンのリデルが向こうの世界へ逝ってしまった。
その事も書きたいと思っているのだが、情けないことに書けずにいる自分がいて、もう少し時間がかかるのだろう...

さて、今回は行政センターから迎えたポメラニアンのコメットの話である。

どこかの駅に繋がれ放置、その後センターへ保護後、我が家に迎えた大きめなポメラニアンであるが、我が家の大きな犬たちの間に入ると充分小型犬ではある。

当時の推定年齢3~5歳。
今年で6年目、9~11歳という年齢幅を持つ。
持病の胆泥症に角膜脂質異常症で、昨年光は感じられる程度の視覚障害になった。

そのコメットのことだ。
迎えた当初人間が施すというか、そうしないとお互い暮らすのに困ったことになるという、手入れや治療やそれに連なることに渾身な反抗と抵抗があった。

舌が紫になるほどの恐怖に苛まれ、噛みついてくる。
私たち家族以外にも現れる、獣医さんにもVTさんにも漏れなく平等に現れてくれるのだ。

そして不味いことにそうした犬ほど管理を要する慢性的な病気を持っていて、力ずくでもやらねばならなかったりする。
家に迎えた当初は爪も伸び放題、グルーミングもいつしたかわからない...緊急にやらねばならないことは動物病院と併設のトリミングルームで強要的にしていただいたこともコメットの保定嫌い目薬苦手の原因でもある。

コメットの治療やグルーミングに対する嫌悪行動や攻撃的な行動はコメットが私たち家族に出会う前に獲得し、自分で選択してきた、コメットにとって不快や嫌悪を退けるための大事な行動に他ならない。

もともとセンシティブで音に敏感な部分もあるようなので当然と言えば当然だが、履歴のわからない保護犬を迎えた人間と人の社会で生きるには多くの課題を抱えた犬との、正の強化と細分化で目薬苦手やトリミングや獣医医療を克服してくれたことが今回の話です。

ただしトレーニング方法や手順をここで教えるということではなく、犬と暮らす根本的な話になります。

まずはトレーニングする順番を綿密に考えた。
今はできないことは動物病院とグルーマーさんに丸投げを自分に許した。
それは今後の犬との信頼貯金に大事。

コメットは自分でだっこ要求は煩雑にするのだが、保定される、特に力がやや入るような保定になると途端にストレスになり、退けるために唸りそれ以上のことをすれば噛んでくる。

保定は欠かすことのできないケアのひとつ、プロの安全な保定でも犬の治療に対する不安や恐怖をゼロにはできないが、プロの保定によって安全に診察や治療を受けられストレスも時短できる。

今は仕方がない、いつか押さえつけられることの無い獣医医療やグルーミングを提供するまでの一過程である。

ドッグトレーナーと言うのは一般犬飼さんから見れば犬のこと全般に長けていて万能のように思われるかもしれないが、トレーナーの犬は自分の飼い主がドッグトレーナーとは1ミリも思わない。

すべてに等しく、自分に安全なのか安心なのかだけ...。

これからの信頼貯金のためにマイナスから始まったようなスタートを少しでも有利にしてくれるのが、その道のプロだからだ。

自分では今現在無理なことはその道のプロにお任せして、今後のこと、家族として必要なケアをどうやって受け入れてもらえるのか作戦をたてていく。

人が犬の反抗的な行動にこだわらないこと、それに執着しないこと。

土足の生活に慣れていない日本人はとかく犬の脚を拭くまたは洗いたがる、散歩後毎回石鹸を使って洗うという人も少なくない。
衛生に気をつけることは大事なことだが、やりすぎは厳禁で、子犬の頃はやらせてくれたのにある日突然噛むようになったという事例のほとんどが、犬の不快というサインを見落としていることで起きる人側の問題行動だ。

人の子どもも子どもの頃は素直で~と言われることも多いけど、犬もそこは同じ、子犬の頃とは違う自我が芽生え嫌だと意思表示ができるようになっただけ。
それを素直じゃなくなった、反抗的になったと人間が犬に反抗し出すので犬はますます混乱し、子犬の頃に築いた信頼貯金はすぐになくなっていく。

履歴のわからない保護犬はどう学習してきたかわからない。
保護犬を迎えるひとつの課題は、以前学習してきたことは早々消えないということ。
だがそれはコメットの問題ではなく、人間が知らず知らずのうちに強化してしまったことだ。

コメットの脚を洗う拭くということはやめて、人間が床を掃除することに変更。
足先に触れることや濡れることへのストレスを軽減しながら慣れてもらうトレーニングは別メニュー。

そして、今、目に見えている都合の悪い行動にとらわれないためにも、今コメットができる失敗していない行動を強化していき、徐々に生活に必要な行動を増やしていくことにした。

つまるところ、スモールステップとコンセントトレーニング、そして犬のボディランゲッジを読むこは、遠回りしながら目標へ到達する知識と技術を積むことがやはり大切。

誰でも高いハードルを行きなり飛ぶのは難しいし、直滑降で滑り降りるスキーも難しい。
より多くな助走やなだらかな斜面から始め、それも失敗を繰り返さないことは人にも犬にも大事なことであると、ここ数十年の犬のとトレーニング遍歴で学んでこれたことが徐々に成功に導いてくれたと思う。

そして、犬の選択に任せることと、獣医師やトリマーがコメットへの共通認識を持ってくれたことも大変心強かった。

目薬が苦手ならその事を獣医師に伝え、眼軟膏に変更してもらった。
グルーミングに長い時間がかからないように自宅でできることを増やしてから、グルーミングに預けた。
それでも強い拒否があるなら、その日は途中でやめてもらうことにした。

コメットは不快や苦痛があると食べ物を受け付けなくなる。
そこは難しいことでもあったけど、食べ物で無理強いしていない、情動への条件づけがコメットが本当に苦痛/不快とするものが良くわかってきた。

食べられることはひとつの指針になるが、それは犬の真に苦手/不快とすることを覆ってしまい、人間だけが安心する。
食べてくれたから人間のやっていることが、その犬にとって正しいというわけではないのだから。

ここでトレーニングのノウハウもハウツーも語ることはしないし、自分が日々取り組んできたことがハズバンダリートレーニングです、というのも烏滸がましいし、恥ずかしくてとても言えない。

紆余曲折の末、コメットを迎えて6年目でやっとここまでできてきた...としか言えないし、その間、コメットには苦痛も不快も与えてきたと思う。

激怒するコメットの数分後には尾を振ってくれる寛容さに救われてきたのは、こちら人間なのです。

コメットは現在、家の中で私と取り組んでくれたことは動物病院やグルーミングの環境でも受け入れてくれるようになった。
不快はあるが、閾値は以前より高くなり、般化の速度も上がった。

それらはやはり、1回の成功ための100回の毎日があったからだと思っている。

こちらにもお薦めあります。


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#動物病院苦手 #ドッグトレーナー















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