葉桜

2015/03/08 14:00
津あけぼの座スクエアクリエーション2
~「葉桜」を上演する~岸田國士「葉桜」~

西陣ファクトリーGardenというところに初めて行った。
阪急大宮から市バスに乗って千本通りを北上し、今出川浄福寺で下車、浄福寺通りを歩いて北上したらすぐだった。
もともと織物の工場だったところをイベントスペースにしているという場所らしい。おお、西陣だねぇ。
劇場に入ってみると、舞台には白い天井と壁と床が、文字通りコの字に作られていて、圧迫感を感じる舞台。

見合いをしたばかりの娘と、その母との二人芝居。
約90年前(昭和初期かな)に岸田國士によって書かれたというこの作品は、言葉遣いも原典のまま進んでいく。古典独特の言葉づかいってキレイだ。

あの時代ならではの親子関係が、もちろん背景にあるのだろうけど、母と娘という独特の言い表せない距離感というか、束縛感が全体ににじんでいて、むずむずする。といって、”親の言うことが絶対”で、"従うことしかできない"というほどのキツイ厳しさはないのだけど、柔らかい布でゆるく縛られているような、そんな束縛感を感じる。
親の束縛感に、今どきなら娘が反発しそうなものだけど、娘も「お母様のいいように」という程度で、どうも現代の私たちにはこの態度もむずむずする。

結婚するのかしないのか、そんな会話をしていくうちにじわじわとあらわれてくるそれぞれの思い。この思いを一気に言葉や態度に出さずに、しかも、直接的ではなく、会話の中からじわじわと浮かび上がらせてくる手法はさすが。

母の"手放したくない思い"と、"縛りたくないプライド"のようなものと、
娘の"離れたい思い"と、"離れることへの不安"がぐらぐら揺れる思い。こんな複雑な関係性と深層心理を、しかもこんなに丁寧に、30歳も越えた男性が書いたことに驚愕するわ。

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