FATZER ファッツアー

2015/03/06 19:30
清流劇場「FATZER ファッツアー」
@兵庫/アイホール

地点の「ファッツアー」を最初に見ているから、どうしても比べてしまうけれど、もともとが未完の作品だからか、全く違う作品だ。
けれども、同じテキストを使っているのだから、印象的なセリフは同じ。やはり、そこは、きちんと描くべき、描きたくなるセリフなのだろうと思えた。

地点の三浦さんは、“ことば”を表す人だと思う。
清流劇場の田中さんは、“人間”を描く人だと思う。あるいは、“物語”か。
三浦さんが表していたファッツアーの“ことば”が、田中さんにどんな人間として描かれるのか、すごく楽しみだったけど、実際に見てみると、そんなことは吹っ飛んで、いろいろな登場人物が放つ強いメッセージに圧倒される。これが、「ファッツアー」の、いや、ブレヒトの、ことばなんだろうか。

誰もが話す言葉や、理論。
うなづけるものもあれば、うなづけないものもある。
でも、うなづけないものだからと言って、私はそんなことは絶対考えないと、さて、いえるだろうか。
生きること、食べること、考えること、頼ること、信じること、触れること、自尊心、軽蔑、裏切り…いろんな言葉がごちゃ混ぜになる。ごちゃ混ぜなのが人間だと、簡単にまとめるのもおこがましい。

やはり、「ファッツアー」は、難しい。
けれど、いつか、いつかテキストを読みたい。じっくり読んで考えてみたいと、思わせる舞台だ。この感想は、何回見ても変わらない。

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