汽水域

2014/12/13 14:00
てがみ座「汽水域」
@愛知/穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース

初めててがみ座を見たのは、「空のハモニカ」(京都)。骨太で芯がある話を書く人だと思った。そのあとは、「地を渡る舟」(池袋)、「乱歩の恋文」(出石)とみてきて、今回は4回目。毎回ツアーに出てくれるわけではないけれど、今回の作品も新作で、かつ、豊橋での公演があるというので、出かけて行った。

友達がてがみ座さんのスタッフで関わっているというので、お手伝いがてら朝から新幹線で豊橋へ。駅から陸橋を通じてそのまま劇場に行けた。なかなかきれいな劇場で、かつ、いろんなスペースがある様子。大阪でいうと芸創的な、というか、京都の芸センに近いかもしれない。最近いろんなツアーが来ているのをチェックしていたから、これからどんどん面白い企画をしそうな気がする劇場さんだ。

友達のお手伝いをさせてもらったので、招待で見せていただいた。
舞台はフィリピンのとある河口近くにある貧しい村。そこで暮らす日系二世の親子と、日本人との物語。今まで見ていたてがみ座は、現代じゃなく、ちょっと古い時代を描いてる作品ばかりを見ていたけれど、今回の作品は現代を舞台にしてた。フィリピンでシラスウナギ(ウナギの稚魚)を買いあさる日本人や、日本へ不法に連れてきたフィリピン人を借金を背負わせて労働させるやり方も、なんだか、ちょっと昔の出来事のように、どこか違うところでの出来事のように感じてしまう。だけど、今まさに起こっている出来事なのだ。

フィリピン人も、日本人も、日系二世(両親も日本人)も、日系三世(日本人とフィリピン人のハーフ)も、みんなそれぞれの思いがあって、理想があって。それぞれの思いに対して、簡単に理解できるものでも、評論できるものでもなくて、なんだかいろいろと刺さる芝居だった。日本人がやっていることをリアルに突き付けられて、なんとなく、燈座の石原燃さんの作品を思い出した。

次のてがみ座は来年の秋らしい。地を渡る舟の再演だそうだ。めっちゃ好きな作品なのだ!東京だけの公演になるのかなぁ。見に行かないと。

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