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第50試合「信念」

今日9月26日はプロレスデーとなった。
そんな中、DDTでは竹下幸之介がKO-D無差別級タイトルマッチで防衛を果たし、夜はNOAHのN-1VICTORYで清宮海斗がリーグ突破。10月3日の決勝トーナメントに勝ち進んだ。
この2人は、今年の頭からスランプに悩まされここまで来た。
その間はファンもヤキモキしていただろう。
しかし、2人が出した結論は実に簡単な事だった。

遡る事今年5月、竹下は6月のサイバーファイトフェスを前にDDTの興行を欠場し、アメリカはAEWに場を移していた。
AEWでは2試合戦っただけだが、その1か月でスランプ脱出の糸口を掴んだと聞く。
それは、大先輩ケニー・オメガやレジェンド クリス・ジェリコを始め、多くのAEWの所属選手が竹下に放った言葉だ。

「今のままのプロレスをしていればいい」

その頃、清宮もプロレスの事で悩んでいた。
色々試行錯誤をして、対戦相手に翻弄されていた時期もあった。
しかし、そんな清宮も試合スタイルは変えなかった。
師匠・小川良成から学んだグラウンドテクニックで試合を進めていく。
そこに感情を乗せる事で今のスタイルを貫いた。
如何に髪やコスチュームを変えたとしてもそのスタイルは頑なに護り通した。

そこに有ったのも「今のままのプロレスをしていればいい」だった。

丁度その合間に新日本プロレスのG1climaxも行われていた。
そのリーグ戦でザックセイバーJrが3連勝を挙げた。
只の3連勝をじゃない。内藤哲也・鷹木信吾・飯伏幸太相手に3連勝である。
ザックも派手な技が飛び交う新日本で関節技を中心に戦う異色なレスラーだ。
そんなレスラーがこの新日本で生き抜き、IWGPタッグベルトを戴冠し、更にG1でも破竹の勢いで勝ち進んでいる。

此処にあるのも「今のままのプロレスをしていればいい」だ。

スランプの要因として「何をやって良いか分からない」と言うのが有る。
何をやっても打開されない。結果に結びつかない。そこから自分がやって来たものに対する信頼が薄れ、試行錯誤して崩してしまう。
色々なスポーツ選手がフォーム改造したりテクニックを覚え過ぎて路頭に迷う事は多々ある。
私も、今回の件に関しては新技の話とかしていた。
竹下も清宮も変型フェイスロックを使いだすと言う共通点が有ったが、結局何も変えずにこの局面を打開したのだ。

一番シンプル、なのに一番難しい「変えない事」
奇しくも2010年代に起きた新日本プロレス暗黒時代も、棚橋弘至が自分を貫いた事で打開し、その後のレインメーカーショックで復興した。
棚橋も変化を求めたが当初はファンも選手も付いてこなかった。むしろ厄介者に捉えられたのだ。
しかし、棚橋はそこで辞めようとはしなかった。

棚橋は変えた。ザックや竹下や清宮は変えなかった。
だが、「今のままのプロレスを」貫いた。そこは変わらない。
自分を信じる勇気。やって来た事を信じる勇気。
それがここで大成した。
以前、進化論の話で言ったことが有る。
「変わらなくても生き残ればそれは進化である。」
変わらない事を信じる。その信念こそがプロレスにおける進化なのだろう。

G1はまだ始まったばかりだ。N-1は来週にも優勝者が決まる。10月に入ればK王トーナメントが始まる。
今後、目の前にどんな壁が阻んでいても、頑固な彼らは信念を貫き通す。

(敬称略)

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