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第51試合「外様」

10月末、NOAHは熊本・福岡と興行を行った。
GHCヘビーが中嶋勝彦に移り、初めてのタイトル戦。
相手は田中将斗。もう名勝負は決まりだろう。
しかし、そのタイトル戦に違和感が有った。

その場面は試合序盤、打ち合いをする場面だ。
田中がエルボーを打ち、ここから意地の張り合いを見せる所だ。
だが、中嶋が放ったのはエルボーである。
エルボーの打ち合いと言えば普通に聞こえるが、あの中嶋勝彦がエルボーで応戦したのである。
中嶋と言えば空手ベースの蹴りである。他の試合でも打ち合いには蹴りで対応している。だが、今日に限ってはエルボーで応じたのである。

これが何故違和感なのか?
それは前の絶対王者・潮崎豪との比較である。
気になって昨年の11月22日の横浜武道館で行われたGHCヘビー級タイトル戦 潮崎豪vs中嶋勝彦である。
ここでも打ち合いが有ったが中嶋の蹴りに対して、潮崎が応じた時はチョップである。
これが普通である。自分の得意分野で魅せるのがプロレスである。
しかし、チャンピオンになった中嶋は蹴りではなくエルボーで応戦した。
エルボーの練習はしているとは言え、空手を基礎にしている中嶋がエルボーだ。

この違和感は遡る事10月10日、丸藤正道からタイトルを奪取した時にさかのぼる。
この時、試合後のマイクで言った一言である。

中嶋が放った外様発言だ。
これはただ生え抜きが優遇されている事を意味するのかもしれない。
だが、今日のメインの打ち合いを見て一つ思った。
「これもNOAH」ではなく「誰が来てもNOAH」を作りたいのだろうか。

ニュアンスは似ているだろう。しかし、中身は若干違う。
中嶋が作りたいNOAHは「外敵でもNOAHの一部になれる」NOAHなのではないか。
「これもNOAH」では相手は外敵であり、そこと交わる事はない。
外敵はあくまで外敵で、NOAHはあくまでNOAH。
NOAHで試合をするならNOAHに合わせないといけない。
だが、中嶋は田中を「外敵でありながらNOAHの一員」として迎えた。
だから相手に合わせてエルボーを放ったのではないか。

無論、田中将斗はZERO1所属ではあるが、以前からNOAHに参戦している。
外敵と言うにはもう慣れ親しんでいる。ファンもそんな気持ちだろう。
しかしNOAH内にも他団体所属の選手も多いし、今後他団体から選手がやって来るだろう。
現に、DRAGON GATEとの交流も加速してきた。
その時、NOAHに来た選手は外敵なのだろうか?
他団体であってもNOAHに来た以上はNOAHの一員なのだ。

ただ、1年近くNOAHを追って来て思ったのは、ファンはそこまで外敵として見ていない感じだ。
その辺は選手サイドとギャップが有るのだろう。
だから、自身も外敵であった中嶋が敢えてもう一度話を投げかけたのかもしれない。
本当に外敵を迎え入れる環境作りをしていく事が必要なのだろう。

そしてそれを表す最後の一言「俺がNOAHだ」
これはあからさまに潮崎の「I am NOAH」に対する外敵である。

これに対し、潮崎はNOAHとして受け入れるのか?
NOAHは2人要らないと突っぱねるか?
この2人が交わった時、生え抜きと外敵の融合が始まる。

(敬称略)

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