見出し画像

第53試合「NOAH三国志」

王の凱旋である!祝え!

いきなり仮面ライダージオウ張りの入り方だが、そんな感じだった。
11月28日の代々木第二体育館はまさに凱旋を祝うファンで溢れた。
2月より怪我で長期休養していた潮崎豪が帰って来たのだ。

そして12月より興行に復帰、元日の日本武道館で中嶋勝彦が持つGHCヘビータイトル挑戦と早速、暴君レベルの行動力を発揮した。
この日メインで戦った拳王はすぐ怒って帰るし、メイン自体が60分ドローのフルコースなのに、デザートで激辛カレーを出された感じであった。

私も代々木に行っており、このメインを観ていたのだが、流石にお腹いっぱいであった。(この日、KENTAの元日出場もアナウンスされて、NOAHファンは絶頂だった)
そんな中、家に帰りながら考えた事がある。
この3人の立ち位置はあの三国志に似ている。

三国志とは180年代、後漢滅亡から群雄割拠の時代に、魏・呉・蜀の三国が覇権を争った興亡史である。
「三国志」は史実に基づいた歴史書ではあるが、日本で良く語られている三国志は、明の時代に作られた逸話や創作が織り込まれた「三国志演義」である。日本で言えば忠臣蔵の様なものだ。

その三国志に出て来る魏・呉・蜀の三国がまさに現在のNOAHである。

まず、今回復帰した潮崎は、蜀の劉備と同じ「系譜」を前面に出している。
劉備は地方の豪族で、そこまで裕福ではなかった。
しかし、黄巾の乱の際に手柄を上げた劉備はやがて蜀の国を立ち上げ、三国の一つとなった。
その際、自分は前漢の皇帝・景帝の末裔であると言ったのだ。
漢の皇帝の末裔である自分こそがこの中国を平定するに相応しいと言う事だ。
実際、蜀も蜀漢と言ってこの国は漢を継ぐ国である事も強調した。
潮崎もNOAHに入って、三沢光晴・小橋建太の元、プロレス道を学んできた。
GHCヘビーを戴冠した2020年には「I am NOAH」の掛け声と共に自分こそがNOAHの末裔である事を誇示したのだ。

そんな潮崎とAXIZとして共に戦った現GHCヘビーチャンピオン・中嶋勝彦だが、2020年8月に離脱。金剛の一員として潮崎の前に立ちはだかった。
結果、潮崎には敗れはしたが、今年のN-1では史上初の連覇。
そのままの勢いで当時チャンピオンだった丸藤正道からGHCヘビーを奪取。一躍NOAHの主役となった。
力でNOAHを治めようとしている中嶋は魏の曹操そのものである。
黄巾の乱以降、弱体化していく諸国の武将をその武力で倒して魏の国力を上げて行った曹操こそ、今の中嶋に似ている。

そんな中嶋と戦い、そして潮崎を疎ましく思うもう一人の主役・拳王。
拳王は呉の国の孫権である。
呉は代々、孫氏が治めていた土地でもあり、その一族であった孫権は人心掌握に長けていた。
拳王も口は悪いが、ファンの心境を代弁する事が多く、その一挙手一投足に付いて行く者も多い。
本人はどう思っているか分からないが、その人心掌握は孫権に匹敵する。

GHCタイトルの力で今のNOAHを牽引している中嶋勝彦
中嶋に先を越されながらも独自の色でファンを魅了した拳王
怪我が癒え、過去の繁栄を再度もたらそうとする潮崎豪

早速、12月5日の名古屋でその三国志が幕を開ける。
果たして2022年のNOAH大陸を平定するのは誰か?

実は今のNOAHが三国志であると言った理由はもう一つある。
この群雄割拠の中国大陸を平定したのはこの三国ではない。
その後、この三国のにらみ合いは続いたが、魏の司馬懿が新たなる国・晋を建国。そのまま国力が低下していた三国を全て滅ぼし、晋が中国を統一してしまったのだ。
正しく、若い力が全てを飲み込んだのだ。

因みに今度の名古屋のカードは
中嶋勝彦・拳王vs潮崎豪・清宮海斗である。

やはり、NOAHも三国志と同じ道を辿るのだろうか・・・?

(敬称略)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?