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再建が早く終わった主な理由

ブレーブスは2013年まで勝負モードとして王朝を築いてナ・リーグ東地区の覇権を制圧していました。
2012年に地区優勝を逃しましたが2013年に地区優勝。
地区優勝した時には投手力が安定していました。
マイク・マイナークリス・メドレンの2枚看板を中心に、ジョニー・ベンターズクレイグ・キンブレルといった投手陣の組織としては十分すぎる面子が存在していた上に、守備力に至ってはジェイソン・ヘイワードを軸とした守り勝つ野球が根付いていたのです。
しかしながら、何故再建期になり、どうしたら再建が早く終わったのか。
この理由について深掘りしていきます。

1.打撃コーチが全てを変えた

2015年から抜本的に再建活動を始める前に2014年に地区連覇を逃し、地区2位ながらもポストシーズン進出までも逃し、前打撃コーチのグレッグ・ウォーカーが退任。現在も指導しているケビン・シーザーが2015年から新しく打撃コーチに就任しました。
シーザーは現在の打高投低の野球界(今年は低反発球が導入されるので打者地獄になる可能性)において選手にはボールを強く叩きアッパースイングをなくしコンパクトに振りに行くという基本的とは言えどもこれができていなかった選手が多く居たため選手にその意識を植え付けました。
ウォーカーの場合はとにかく強く振る、低打率であろうが三振を何個してもいいから2割3分30HRでもいい、みたいな適当な考えで多くの選手の能力を活かしきれなかった。これが原因で打撃が伸びなかった選手をたくさん見てきました。

2.シーザーの指導のおかげで一気に打撃が伸び、「打線のブレーブス」とまで言われるようになった

僕が幼少時にブレーブスを見た時というのは「投手力が安定していて守りも堅実なうえに細かいことをしっかりやり接戦を勝ち抜く野球」というイメージでした。
現在やってる野球というのは全く違う野球で「何点か取られるのは覚悟、取り敢えず打たないと何も始まらない。打って勝つ野球」です。
能力が一気に伸びた選手もいますし、今や打撃コーチの名伯楽とまで言われたシーザーの熱血指導で「ブレーブスの打線は怖い。投手力とは言えどもブレーブス打線は驚異的な凄さを感じる」という他所の贔屓球団のファンも絶賛していました。

能力が伸びた選手(2015~2017)
ヨハン・カマーゴ(再建期)打率.299 四球率2.7% 三振率19.9%
オジー・アルビーズ(再建期)打率.286 四球率8.6% 三振率14.8%
エンダー・インシアーテ(再建期)打率.298 四球率7.3% 三振率12.5%
ダンスビー・スワンソン(再建期)打率.246 四球率10.3% 三振率22.1%                               
能力が一気に覚醒した選手(2018~2020)→2020はコロナの影響で短縮シーズンなのであまり参考にはなりません
ロナルド・アクーニャ(勝負期)打率.281 四球率11.3% 三振率26.4%
フレディ・フリーマン(勝負期)打率.308 四球率12.5% 三振率17.8%
ジョシュ・ドナルドソン(勝負期)打率.259 四球率15.2% 三振率23.5%
マーセル・オズーナ(勝負期)打率.338(!!) 四球率14.2% 三振率22.5%

リンク先(再建期)↓

リンク先(勝負期)

再建期に選手を再生した選手が過渡期を迎え劣化してトレード要員になる選手もいますが、逆に考えると最近デビューした若手やFAで加入してきた選手は幹並み成績は上昇しておりドナルドソンとオズーナは大きな契約を貰い、ドナルドソンはツインズに移籍したもののブレーブスは4年75MM程度の契約をオファーするなど一昨年のFA市場でも大人気だったのもこの実情です。
オズーナもどうなるかと思いましたが4年契約75MMで残留。
オズーナも大人気でした。

3.就任後アプローチが大幅に改善

先程、引用に掲載した通り、ウォーカーがいたときはとにかく振り回す、打率はガン無視で長打を打てる選手をラインアップに並べる、といった古い時代の指導法でした。

そんな指導法では成績が上達しないのも当然です。
シーザー就任後は「ボールをよく見て振れる球は積極的に振っていき、微妙な球や明らかにボール球とわかるのは見逃していく」
といった現代野球に適している指導法に変貌。
すぐにコンテンダー即ち勝負期に行くのは難しくとも打者が伸びれば自然と相乗効果で投手も伸びていきます。
何故なら、野球は何点取られるかではなく何点取って相手に勝てるのかの点取りゲームだからです。
相手より1点でも多くとれば勝ち。単純なことです。

来た球に対してブンブン振り回すのは昭和末期~平成中盤までの考え。
フライボールレボリューションとかで長打をどんどん打つのが野球の新体系とか言いますが、そんな考えはウォーカーの時代の考え方。
シーザーはとにかく来た球だけを振るのではなく、際どい球は見逃し、甘く入った球を仕留め、後ろの打者にどんどん繋いでいく、といった現代野球に適した素晴らしい指導法で現在の黄金期によっては無くてはならない名コーチになりました。

4.2019シーズンは得点力でリーグ3位の大健闘

2019シーズンはブレーブスが地区優勝しましたが地区シリーズで負けて同じ地区のナショナルズが世界一になりました。
その年はブレーブスはナショナルズに次ぎ地区で得点力2位(リーグでは3位)。
東地区の覇権を争う中で「ナショナルズを倒さないとプレーオフでは勝てない」ということが明確になりました。

昨年はコロナ禍でいろいろなことがありフォーマットが特別だったため省略しましたが、プレーオフを見ていて打撃に関してはしっかりと鍛えられていて、どこからでも点が取れる理想形だなとわかりました。

今年は普通のフォーマットに戻りますが長丁場になってどこまで噛み合うのかが重要なシーズンになりそうです。




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