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クリストファー・ノーランが好きなら、「うる星やつら2」を観よう。

こんにちは。Hiroshiです。
ブログでは留学・移住・英語等について発信していますが、noteでは特にカテゴリを絞らずに発信しています。

今回は、「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」という作品について書きたいと思います。

各映画レビューサイトで、非常に評価が高いこの作品。
レビュー本文を見ると、何やら長文で哲学的な考察をしている人達がたくさんいらっしゃるではありませんか。
「うる星やつらって、あのキワドイコスプレをした女の子が登場するドタバタラブコメだよね…?」と、不思議に思いつつ、かなり長い間気になっていた作品だったのですが、ようやく鑑賞しました。
(失礼ながら、すなわち原作に関する知識はほぼ皆無ということです…)

結果、身震いする程感動したので、思わずレビューを書いてしまいました。

映画はそれなりに好きな方で、アニメ映画も「通」とはいかないまでも、有名所はそれなりに観てます。
「君の名は。」「天気の子」「クレヨンしんちゃん」「秒速5センチメートル」、そしてジブリ・Disney等、有名所は一応押さえてるといった感じ。

そしてこの「うる星やつら2」は、今まで観たアニメ映画の中でも、いや、オールジャンルで見てもトップクラスに感動した部類に間違いなく入ります。

「感動」といっても、少し言い表すのが難しい感覚です。
「怖い」30%・「切ない」30%・「ヤバいもん観た」40%て感じ。

興味を持って下さった方は、ぜひ読み進めてください。
【ネタバレなし】で詳細記載します。

どんな作品?何がすごいの?

「うる星やつら」の原作は、皆さんご存知ですかね?
ラムちゃんという、鬼のコスプレをした宇宙人が、人間の男の子にゾッコンで、、みたいな、ドタバタ系ラブコメです。「〜だっちゃ♡」っていう語尾が有名ですよね。原作者は「めぞん一刻」「犬夜叉」「らんま1/2」でもおなじみのの高橋留美子氏。

この作品は、そんなドタバタラブコメの映画化であるにも関わらず、それらの要素をほぼ無視した、SFミステリーです。

タイトルに書いた、クリストファー・ノーラン監督といえば、「インセプション」「インターステラー」「メメント」「TENET」等、極めてトリッキーなプロットで有名ですが、今作はそのレベルか、それ以上にトリッキーなプロットです。
ネタバレになってしまうので、あまり多くを語りたくはないのですが、強いて言えば「インセプション」に結構近いです。

まず、冒頭約2分程度、非常に奇妙な映像が流れます。この時点でかなり怖く、「あっこれ全然ラブコメじゃねえや」という空気感に気づきます。
この時点では全く説明はないので、意味もわかりません。
それが終わると、一旦ドタバタコメディに戻るのですが、また15分程度経つと、空気感が一変します。
そこからどんどんプロットが予測不可能な方向に加速していくのですが、この「空気感が一変する」感覚は「パラサイト」にあったそれと似ています。

コミカルな絵柄と対比をなすようにミステリアスな内容なので、展開が変わった時の緊迫感に拍車がかかっています。

特にあのタクシーのシーンとか、、おっとこれはネタバレになりますね。

(個人的に)アツいバックストーリー

今作の監督は、押井守氏という方。
この名前を聞いてピンとくる方もいらっしゃるかも知れませんが、国内外問わず名作として名高い「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「パトレイバー THE MOVIE」と同じ監督さんですね。GHOST IN THE SHELLはハリウッドで実写化されています。(恥ずかしながら、押井監督の作品は今作が初鑑賞です)

そして、今作は先に挙げた2作よりも前に作られた作品。公開年は1984年、実に37年前です。(すげぇ)
今作が、押井監督の出世作となったと言われています。

しかし公開当初、今作は酷評を浴びたといいます。原作者の高橋留美子氏もかなりの難色を示したとか。

それもそのはず。だって劇場に行くお客さん達は、キワキワのコスプレを着たラムちゃんを取り巻くキュートなラブストーリーを期待してるわけですから。高橋氏も、「さ〜て今回はどんなキュートなラブコメになってるかな〜?」という気持ちで試写に臨んでいる筈です。

そこに、ゴリゴリにメタファーが散りばめられたSFミステリーをブチ込まれたら、「俺らが求めていたのはこんなんジャナイ!!」ってなりますよ。笑

しかし、それは既存のファン層へのウケが悪かっただけで、一部の人達にはブッ刺さり、ここまでの人気を集める作品になったという訳です。

タイトルに「うる星やつら2」とあるように、「うる星やつら」の劇場版はいくつか存在します。そして、第1作は、同じ押井氏が監督しています。
作風としては、割と原作に近いそうです(未見ですが)。

しかし押井氏は、「第1作では自分の創りたいものが創れなかった」という想いだったとのこと。原作のイメージを崩さないよう気を配ったんですね。

しかしそれで不満が爆発した押井氏は、「次回作では自分のやりたいようにやってやる」という決意をし、「もうOKを出すしか選択肢がない」という時期になるまで脚本の提出を粘ったそうです。

壮大なケンカです。
当然のように、第3作では押井監督は降板
しています。

あまりにも原作とイメージがかけ離れているので、嫌な想いをした方々は沢山いたでしょう。
しかし、それに屈せず一世一代の賭けに出た押井監督のクリエイターとしての矜持は、この上なく天晴なものです。

まとめ〜観るならここに注意して!

個人的には、今作は世界に誇れる日本の文化遺産だと思います。
残念ながら、見放題のラインナップにはどのサービスでも含まれていないようですが、私はAmazon Primeでレンタルしました。
作品の長さは98分と、割とコンパクトです。

言われないと気づかないギミックが沢山(ほんとに沢山)あるので、これから観るという方は、まず以下の3点に注意してみて下さい。

①夜の校舎のシーンでのサクラの台詞
②エンドロールの背景
③ペットの身体についたマーク

そして、作品が終わったあと、冒頭の映像をもう1度見て下さい。
僕はこの一連の仕掛を理解して「うおぉ!怖!!!」ってなりました。
色んな解釈があるようですがね。

気になった方は、ぜひ観てみてください!
これから、押井監督の作品をいくつか観てみようと思います。

ではまた!


訪問頂きありがとうございました! 少しでも皆様のお役に立てるような記事を作成してまいりますので、また定期的にいらしてください!