見出し画像

遠・中・近の3層でシンプルに考える

  • がんばって描き込んでも遠近感が出ない

  • 絵にまとまりがなく見づらい

  • 奥と手前のコントラストがチグハグになる

と悩んでいる方はいませんか?
僕も以前は下の写真のような絵を描くときに
時間をかけて描き込めば描き込むほど
遠近感がなくなっていくという失敗
を繰り返しました

今思えば
遠景、中景、近景とグループ化して考えていなかったことが
失敗の大きな原因だったと思います

そこで、この記事では上の写真のように
同じようなものが連続している景色で
遠近感を表現しなければいけない
ような絵を描く場合の
僕の考え方をまとめます

遠景、中景、近景をそれぞれグループ化することで
扱う情報をシンプルにして
短時間で的を絞った描き方をするための
ヒントになるのではないかと思います

この考え方は木々に限った話ではなく
ビル群や山々でも同じ考えが使えます


失敗例

奥から順にコントラストを決めて描く

遠景、中景、近景に
分けて考えることができなかったときは
下の図のように光面と影面のコントラストを
距離に対応させて考えてはいたものの
遠景までの見える範囲を連続したコントラストで考えていました
(このコントラストと距離については下の記事でまとめています)

そのため微妙な距離感をすべて
微妙なコントラストで表現しようとしていたので
描き始めたら最後
描き終わったと思えるまで描くしかない
といった感じでした

遠景、中景、近景として考えるとは
どういうことかというと
下の図のように
使うコントラスト(色幅)を限定してしまうと言えます

まずは失敗例から説明します
下の図を見てください

これは写真を参考に
手前の方がコントラストが強くなるように
奥から手前に順に描き進めた
ものです

奥から順にコントラストを決めて描く方法の欠点

奥から順に微妙にコントラスト幅を広げながら描いているので
どうしても隣同士のレイヤーの色幅が近くなってしまい
メリハリに欠けてしまううえに時間がかかります
これが失敗の原因と言えます
隣同士が微妙な色の違いでしかなくなるので
パッと見、色の違いに気づきくくなってしまう
んです
その結果、描き込めば描き込むほど違いが分かりにくくなるという
悪循環
になってしまいます

この問題は
はじめにわかりやすく遠中近に分けてから描き進めることで
解決することができます

遠中近の3層で考える

下の図で2つの方法を比較しました

  • 左半分:遠景から手前に順に描き進める方法

  • 右半分:遠中近の3層に分けてから描き進める方法

遠中近の3層で描くメリット

メリットは遠景と中景、中景と近景などの距離感をチェックしやすい点です
遠景、中景、近景と分けずに考えた場合は
下の図の左半分のように
微妙なコントラスト差のものがいくつも重なっている状態のため
距離感の前後関係のチェックが大変です
しかし、遠景層、中景層、近景層に分けて考えた場合
下の図の右半分のように
遠景層と中景層などの層同士の距離感
中景層内での前後関係などの距離感といった具合に
距離感のチェックがしやすくなります

描いている最中も
遠中近のどの部分を描いているのかが理解しやすいため
描いていて混乱することがありませんので
他人が見ても見やすい画面になりやすいと言えます

まとめ

遠中近の3層でグループ化して考えるメリット

  • それぞれの距離感とコントラストをチェックしやすい

  • 使う色幅(コントラスト)を限定するぶん距離感にメリハリがつく

上図の比較画像がわかりやすいと思いますが
遠景から手前に連続的に描く場合と
遠中近の3層で分けて描く場合では
描きあがった絵に大きな違いがなかったとしても
考えていることが全然違います

参考のように
遠景、中景、近景という分かりやすい構図になっていない絵であっても
遠中近の3層にわけて考えることで
考えやすく、描きやすく、見やすい表現をする
ことができます
もし距離感を連続的にしか表現したことがない人は
一度、試してみてはいかがでしょうか?


今回の記事で説明した考え方は
「距離」を「明暗のコントラストで説明的に表現した」だけの
図面的なもの
でしかありません
下準備のようなものです

ここから「絵」として魅力を追加する方法
以下の記事で説明していますので
ご覧ください



【おまけ】遠中近の3層で描く場合のステップ

下に、この作例を描いた時の手順と考え方をまとめます
基本的には遠景になるほど
光と影のコントラストが弱くなっていくように描いています
(距離とコントラスト、色幅などについては
下の記事をご覧ください)


遠中近の3層で描く場合のステップ

  1. 空と遠景の山々、中景の森、近景の木の光面の色で塗り分けます

  2. 遠景、中景、近景にそれぞれ距離感が必要な場合は遠景層、中景層、近景層としてグループ化します

  3. それぞれの影面の色で影を付けていきます。光と影の中間の色を使う場合には、光面の色をハイライトとして塗り残すのがポイントになります。ハイライトを塗りつぶしてしまうと距離感が狂ってしまいます。光面の色と影面の色を使ってこそ、コントラストと距離を対応させることができるからです

この作例については
遠中近の3層で分けて考える例としては
分かりにくいと思いますが
考え方や作業手順の参考にはなると思います


本文はあくまでも個人の見解です
当コンテンツはできる限り間違いのない情報を
提供するよう配慮していますが
正確性を保証するものでないことをご了承ください


気に入っていただけましたら、スケッチブック1冊分のサポートよろしくお願いします