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めぐるめぐる、猫もうんこも

8年間飼っていた猫のナツが亡くなりました。たぶん24歳。

昨年の夏に夏バテで体調をくずし、涼しくなってから一旦回復はしました。今年の6月の厳しい暑さで一気に痩せてしまい、体の厚みが2センチくらいになっちゃいました。
その後は首や喉に大きな腫瘍ができたり、食欲もどんどんなくなり、あれほど身なりをきれいにしていたのに、それもやらなくなり、立っているのが不思議なくらいに筋肉が削げていきました。

食が細くなって、チュール的なものしか口にしなくなって、それでもチュール欲しさに階段を上り下りする気力はあって、おいしいものを食べたいという欲は最後まであるんだな、とへんなところで感心してしまいました。
痩せ始めて2ヶ月ちょっとで、とうとう水も飲めなくなり、最後にろうそくの炎がふっと消えるようにこの世を去りました。
出かけていたわたしが戻ったところで、すっくと立ち上がっていたのが、最後のあいさつでした。

息がなくなると、とたんに死骸というものになってしまうのだなぁ。生きてるのと死んでるのと、その境界は大きい。
すっかり軽くなった死骸は、庭の大きな百日紅の近くに埋めました。

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そんなタイミングで見た映画が、『うんこと死骸の復権』。
なかなか上映している映画館がないのですが、シネマネコでかかっていました。

今は、「食べる」と「死ぬ」と「排泄する」がすごく遠いものになってしまっているようです。人間は自然界の中の循環サイクルのひとつだったはずなのに、知らない間に遠く離れています。

この映画では、最初にうんこが出てきます。
今は水洗トイレで流されて、下水処理されて残ったものは焼いて灰になります。自分の出した有機物は、自然に戻ることなく処理されてしまいます。人間だけ、命の循環から外れているのです。

ちなみに・・白丸にあるグラビティ奥多摩ベースはコンポストトイレ。
竹チップと混ぜられたうんこは微生物によって分解され、発酵して、土へ戻します。一旦、竹チップの中に紛れてしまうと、うんこはぜんぜん匂いません。びっくりするくらいに。

このトイレは、形もかわいいし、配線や配管がいっさいいらないので、どこでも設置できます。水を使わないので、災害時にも強いです。
庭のある家なら、外トイレとしても便利。
おすすめです!

話が横道にそれましたが、映画では、土にうんこをして、それがどう分解されるのかを観察したりします。

何度もうんこが埋められている場所ほど、分解も早いそうです。土壌の微生物が活発に動きやすい環境になってくるのでしょうか。

監督の関野さんは、はじめはいいうんこができなくて、恥ずかしがっていましたが、最後はもりもりのいいうんこが出せるようになって、自信満々に大きく映ってました笑

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ほんとうは、死んだものを口にして、自分のカラダの老廃物(死んだ細胞)を排泄して、それがまた別のものに食べられて。

自分の命がなくなって死骸になってしまったら、あとはいろんなものに食べられて、細胞がちりぢりになって、他のものに生まれ変わる。まさに「転生」。まったく違うものに組み替えられ、姿を変えてずっと生きているとも考えられます。

かつて、わたしの田舎は土葬でした。

柩に入れた遺体を土に埋めます。そのままの形で土の中に埋めるのは、「あそこにいるなぁ」と物体としての存在が残ります。ほんの数時間で姿が一変してしまう火葬とちがって、ゆるやかに死を受け入れるかんじがありました。

当時、墓掘りは地域の中で持ち回りでやることになっていて、絶対に断れない役割でした。前のお葬式から時間がたっていないと、掘っている時に骨が出たりしたようです。

うちの猫も徐々に虫や土壌に食べられて、肉も骨も土へと戻っていくのだろう。そして違う形になって、またわたしの前にあらわれてくれるんじゃないのかな。

わたしも土葬がいいなぁ。虫とか動物とか微生物に食べられて、おいしい土になりたい。

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