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FRB 5月QT開始へ 月950億ドル


3月に開かれたFOMCの議事要旨が公表されました。本当はもう少し早くアップしたかったのですが、YouTubeが7:00ごろ、このnoteは7:30すぎとなりました。いろいろ予定がつまっていたのと、まだ作業が慣れていないためです。今後はもっとうまく回していけるように努力します

◆きょうのNYマーケット

昨日に続いて、米10年債利回りは上昇し、2.6%台と3年ぶりの高水準を付けました。金利上昇が重しとなるかたちで、ナスダックは2日連続で2%以上下落しました。背景にあるのはFOMCの金融引き締めです。

◆議事要旨のポイント

4/6公表された3月分の議事要旨。たくさん論点はありましたが、特に注目されたのは下記です。

昨日のブレイナード理事の講演などである程度織り込まれていた面はありますが、FRBはインフレの警戒を強めており、急ピッチの金融引き締めを進める方向であることが明確になりました。

資産圧縮(QT)は次回5月の会合で実施する構えで、月950億ドルを上限に圧縮していく予定です。「QTってそもそも?」と思われる方もいらっしゃると思うので、下のほうで細く解説します。

さらに1度の会合で0.5%の利上げを検討していく構えもみせました。これは5月の会合だけでなく、インフレが収まらなければ、one or more(1回もしくは複数回)実施するのが適切になる可能性もあるとしました。

FRBの利上げは歴史的に0.25%の刻みで実施するのが通例です。一度に0.50%を上げるのはそれだけ事態が差し迫っているといえます。

◆ QTって?

QTの前提として、まず2020年3月のFRBのコロナ対応を振り返りましょう

緊急会合で、大幅利下げに踏み切り、一気にゼロ金利としました。利下げだけでなく、国債などを大量に買う量的緩和も併せて実施。ほかにも海外中銀へのドル供給信用緩和策なども打ち出しました。景気の底割れを防ぐとともに、金融市場・金融システムの安定を確保するため、政策を総動員しました。

その後、経済再開によって景気や失業も徐々に平時に近づき、金融市場も安定しました。前例のない金融緩和を続ける必要性は薄れました。むしろ昨年後半にはインフレが急加速。あわてて金融緩和を修正せざるをえなくなりました。

QEは上記の2つめ「大量の資産購入」の修正です。資産購入はQuantitative Easing(量的緩和)の頭文字をとって、QEとも呼ばれます。QTはその巻き戻し。Quantitative Tightning(量的引き締め)の頭文字です

QTのざっくりしたイメージです

国債などFRBが持つ総資産残高の推移です。昨年秋までは月1200億ドルのペースで残高が増えるよう、資産を買ってきました。矢印は直線の右肩上がりです。

昨年秋~最近まではこれを少しずつ金額を落としました。これはテーパリングと呼ばれます。アクセルを少しずつ緩めていくイメージです。

その後、残高は横ばいが続いてきましたが、今度は量を減らしていく――このステージがQTです。上限で月950億ドルですから、QEの1200億ドルよりやや鈍いペースながら、大規模な額で減らしていく構えです

FRBの大量の国債購入はこれまで長期金利を押し下げてきました。しかし、今後は利上げとともに資産も圧縮していきます。このため、長期金利には上昇圧力がかかります。金利が上がれば景気にはブレーキがかかりますし、世界の潤沢な運用マネーもしぼむ可能性があります。

このためこの2日間はナスダック株が下落しました。達観すれば株価はいまも史上最高値圏ですが、これまで株価が上昇した大前提は強力な金融緩和でした。前提がかわりつつあるため、株価がずっと力強い展開になるのか、慎重になる投資家も増えてきています。

◆ 今後はもう少しわかりやすいテーマを

このnoteは、幅広い方の金融リテラシーの向上に貢献したいというのがコンセプトなので、今後はもっとかみ砕いたテーマを取り上げていきます。要望などございましたら、コメントお待ちしております。

■ お知らせ:5月~月額マガジン

5月~月額300円(初月無料)で月10本以上を投稿予定です。4月は無料・登録不要で10本ほど記事を投稿する予定です。投資のプロ向けというより、投資の初心者~中級者や、投資もしていないけど教養としてサクッと経済のことを知りたい、という方が対象です。今回のようなサンプルをご覧になったうえで、5月以降、ご購入いただけるかご検討ください。

2022年4月7日 後藤達也

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