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【FOMCまとめ】0.75%利上げ & 株価急反発

金融市場の注目が集まったFOMC。ポイントを取り急ぎまとめました。このあと、YouTubeの作業にいったん移りますが、のちほど、このnote記事も補強したりブラッシュアップしたりします。初の試みなので、ご感想改善点などコメントいただければ幸いです。合格点なら「いいね」くださると励みになります。

利上げは通常、0.25%です。5月FOMCは0.50%の「一段とばし」となりましたが、今回は0.75%と「二段とばし」。実に1994年以来、28年ぶりの大幅利上げです。さらにパウエル議長は次回7月会合で「0.50~0.75%利上げの可能性が高い」と明言。歴史的な急インフレのなか、FRBが大慌てで政策対応に動いています。

5月の前回FOMCでは、6月と7月は「0.50%の利上げ」が基本線と説明していました。1カ月あまりで、その説明があっさりと修正されました。最大のきっかけが先週発表の5月のCPI(消費者物価指数)。前年同月比8.6%となり、4月(8.3%)からさらに加速。市場のピークアウト期待に反した結果で、パウエル議長にとっても「驚き」となりました。

さらにミシガン大学の調査で家計の予想インフレも上昇。パウエル議長は「真剣に受け止めなければならない」と話しました。国民の予想インフレが上がると、将来の実際の物価も上がりやすくなります。物価安定には予想インフレも安定させることが重要なのは世界の中央銀行の共通認識です。

5月のFOMCでも「0.50%利上げ」は状況次第で修正するとしていましたが、0.75%利上げはほとんど念頭にないという説明でした。それだけCPIや予想インフレのデータはFRBにとっても想定外だったといえます。

ドットチャート

上記のドットチャートもきょうの焦点の1つです。FRBは3カ月に1回、SEPという経済見通しを公表しており、今後3年の政策金利の基本シナリオも公表しています。14人のメンバーが上記のように丸印で示されています。

2022年の中央値は「3.25~3.50%」。この通りになるなら、今年残り4回のFOMCで計1.75%の利上げが実施されることになります。会合ごとにわけるとたとえば次のイメージになります

7月:0.75%利上げ
9月:0.50%利上げ
11月:0.25%利上げ
12月:0.25%利上げ

なお前回3月は中央値が「1.75~2.00%」だったので、わずか3カ月で1.5%も上振れしたことになります。

2023年の中央値は「3.50~3.75%」と「3.75%~4.00%」の中間。2024年末の中央値は「3.25~3.50%」。23年の利上げ幅は小幅で、年内に利上げ停止、24年にかけ利下げに転じるイメージといえます。景気を熱しも冷ましもしない中立金利の目安ともいわれるLonger-run金利は2%台半ば。政策金利は数年間、中立金利をやや上回る状況となる可能性もあります。

もちろん、上記はあくまで現時点の基本シナリオにすぎません。前回と今回の会合でこれほど政策運営がかわったように、物価などの情勢次第でシナリオは大きく変わる可能性があります。パウエル議長もインフレについて「さらなるサプライズが待っている可能性もある」と話します。仮にインフレ加速が止まらなければ、もっと踏み込んだ利上げに迫られる可能性もあります。

インフレ見通し

同時に示したインフレ見通しは上記のとおり。PCE(個人消費支出)物価で2022年(10-12月)は5.2%の上昇を見込んでいます。3月の4.3%から大きく上昇しました。2023年10-12月は2.6%へと鈍化する前提です。この青写真に沿って、インフレ率が鈍化していくか、確認していくことになります。

市場の見立ては?

金利先物市場が予想する利上げペースは下記の通り。7月会合は77%の確率で0.75%利上げ、23%の確率で0.50%利上げを見込んでいます。その後、3回の会合で合計1.25%程度の利上げが見込まれています。

2023年の見通しは下記のとおりです。2023年前半に合計で0.5%程度の追加利上げを経て、利上げが停止との予想が優勢です。そして2023年後半には利下げに転じるシナリオも出始めています。


株価は急反発

ナスダックが2.5%高となるなど、株価が急反発しました。市場ではBuy the rumor, sell the fact.(噂で買って、事実で売れ)という言葉があります。今回は利上げのうわさで株価が「売られ」ていたので、「噂で売って、事実で買え」ではありますが、この数日の急激な株安が巻き戻された格好です。長期金利も6/15は一転して低下、ドルも下落しました。

6/15のNY株式市場はひとまず明るいムードとなりましたが、インフレや景気への不安がぬぐえたわけではありません。サプライチェーン問題やロシア情勢など、改善の兆しはみえません。引き続き、米インフレ指標やそれに影響を与える諸要因の変化に気をとがらせねばならない状況が続きそうです

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