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新NISA、個人マネーの影響力は?

10日ほど前にテレビ東京のWBSに出たとき、「株式市場の今後の注目は個人マネーの動き」とお話ししました。時間に限りがあり、もう少し話したかったことがあるので、ここでお話ししたいと思います。

◆ 日本人の金融資産

まず、日本人の個人の金融資産って、全部足すと、2042兆円あります。

内訳はこんな感じです。

日銀 資金循環(2023年3月末)

半分強が現金・預金なんですね。

上場株・投資信託は過去20年で増えましたが、まだ全体の10%強です。

アメリカは「現金預金」と「株・投信」の比率がほぼ逆になっています。アメリカがいいというつもりはありませんが、日本はかなり預金好きな国です。

◆ 株・投信をどれくらい買ってきた?

では個人はこれまで、どれくらい株や投信を買ったのかみてみましょう。

日銀 資金循環(2023年3月末)

年度で「買った額」から「売った額」を引いた集計です。棒グラフが上なら、買い越しですね。

ここ数年、青の投信が結構上にでています。NISAの普及や日米株の上昇で、積み立てで投信を買う人が増えたとみられます。

日本株は2020年度まで売り越しが続いていました。個人は株が上昇すると、利益確定売りを出す傾向が強いとされてきました。それでも2021-22年度は買い越しに転じています。

投信&株で、じわりと投資機運は高まってきたといえます。

これが新NISAによって、新たに投資が始める人が増えれば、個人マネーの株・投信への資金流入が一段と盛り上がる可能性があります。

◆ 1%で11兆円

ここでもう一度、最初のグラフです。

日銀 資金循環(2023年3月末)

現金・預金は1106兆円もあります。このうち1%、株や投信に流れれば、11兆円もの資金フローになります。

11兆円というのは非常に大きな規模です。

◆ 外国人投資家でチェック

どれくらいかイメージするために、今年の外国人の売買動向を振り返りましょう。

日本株は今年4-6月に記録的な上昇となりました。

その原動力が外国人の日本株買いでした。その4-6月の買越額は約6兆円です。

記録的な株高をもたらしたお金が6兆円です。一方、個人の現預金が1%動けば11兆円となると、個人マネーの潜在力の大きさがわかりますね。

◆ かわる「個人投資家」の意味

2020年度までは個人は株を売り越していました。

長く投資をしている人が株価上昇の過程で、利益確定の売りを出したとみられます。

ところが、これからは構図が変わる可能性があります。

最近、みなさんのまわりでも「いままで投資は避けてきたけど、そろそろ始めよう」という人は増えているかと思います。少額でも毎月積み立てでアメリカ株や日本株を買い始める例は多くあります。

こうした人たちは、従来の個人投資家と違い、株価が上がってもすぐに「売り越し」にはならない可能性があります。

いままでほとんど現預金だった人が積み立てを始めたとなると、すぐに売る人は多くはなさそうですよね。むしろ、何年にもわたって、じわりじわりと買い越す可能性があります。

◆ 為替レートにも影響

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