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6億回からの学び

日本経済新聞社にいた2020/5/1に始めたTwitterアカウント(https://twitter.com/goto_nikkei)。あす2022/6/30をもって運用を終え、鍵をかけます。今後は個人で始めた新アカウント(https://twitter.com/goto_finance)や、このnoteなどで発信していきます。

累計のインプレッション(表示数)6億5700万回。あくまで表示数なので、多くは読み飛ばされているかもしれませんが、我ながら衝撃の数字です。

InstagramやFacebook, YouTubeなどと比べ、Twitterにはリツイートなどを通じた圧倒的な拡散力があります。著名人でもない私のツイートがときには数時間で100万台以上のスマホに表示される。10数年前では考えられなかった世界を肌で体験することができました。

そして、Twitterは利用者のすそ野が本当に広い世界です。年齢、住まい、仕事柄…あらゆる属性の人が集まっています。これはとても大きな意味がありました。

日経新聞の読者の多くは「経済への関心の高い人」。ただ、世の中には「経済に多少興味はあるけど、おカネや時間をかけてまで学ぶ気はない」という人の方が圧倒的に多くいらっしゃいます。そんな方々にも、わずか数秒であれアプローチできるのは報道に携わる者にはとてつもない機会です。

「なにが人の目をひくのか」「どういう話題を他人に共有したくなるのか」。フィードバックは瞬時に現れます。予想外の反響もあれば、事前に期待したほど反応がなかったこともたくさんあります。

個人的にはむしろ後者、つまり「思ったほど伸びなかった」ことの方が学びが多くあります。旧来の報道は読者のフィードバックがみえづらく、供給者目線でのテーマ選別や情報整理に陥りがちです。供給者目線のアンテナと世の中の関心のズレをまざまざと感じさせられるのは後者なのです。

PDCA、「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」。Twitterではこれを高速回転できます。野球の素振りのように毎日試行錯誤を繰り返す中で、世の中の関心をとらえる精度が少しずつ高まったように思います(もちろん大衆迎合ではツイートが歪むため、バランス感覚が必要です)。

いいねやリツイートは月を追うごとに増加。当初は「10年でフォロワーが1万人でもいけば…」程度に思っていましたが、1年たたずして10万人を超えました

同時に魅力的な方々と出会える機会も急増しました。著名人との相互フォローはもとより、世の中には匿名アカウントながら各界の一線で活躍されている方が多数いらっしゃいます。そうした方々と直接お会いできる機会に恵まれるようになりました。

新聞記者は一般の方と比べ、著名人の方とお会いしやすい立場にあります。ただ、それはあくまで担当分野(もしくはその周辺)の取材というのが基本です。一方、Twitterは先述の通り、あらゆる属性の人が集まる場。Twitterを起点とした数々の出会いは本当に世界を広げてくれました。

日本経済新聞を3月末に退職した理由は複合的ですが、Twitterを通じた経験は間違いなく背中を押しました。

Twitterだけでなく、YouTube, note, TikTok…さらにはテレビなど伝統的メディアも含め、もっと縦横無尽に試行錯誤を高速回転させてみたい。成果は生まれないかもしれないし、生計もたてられないかもしれない。しかし、エキサイティングな世界が広がっているに違いないという確信があり、リスク覚悟で日経新聞を退職しました。

それから3カ月。いろいろ不安定ですが、テレビやYouTube, note, TikTokなどなど、いろんなことにチャレンジし、たくさん発見がありました。スティーブ・ジョブズのいう connecting the dots のように様々な体験が複雑につながり、新しいアイデアシナジーも生まれてきています。そしてその新たなアイデアたちがまたdotsとなり、世界が広がっていくような気がしています。

と、話が大きくなりましたが、そうした世界へと扉を開いてくれたのがTwitterです。私の人生の節目だったといって全く過言ではありません。

今後、個人アカウントで発信していくとはいえ、旧アカウントを終えるのは一つの区切りです。気持ちを新たにさらに試行錯誤を重ねていき、みなさまにしっかり成果をご報告できるようがんばってまいります。

旧アカウントへのご愛顧、改めて深くお礼申し上げるとともに、今後もかわらぬご支援をお願い申し上げます。

2022/6/29
後藤達也

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