米インフレ ピークアウト? PPIも予想下回る
11/15発表の米PPI(生産者物価指数)は市場予想を大きく下回りました。先週のCPI(消費者物価指数)に続き、インフレのピークアウト期待を強める内容となり、市場では株高・金利低下・ドル安が進みました。
まず、数値の概要から。
企業間の物価であるPPIはCPI(消費者物価指数)に先行して動くこともあります。
ご覧のように2021年初めの物価上昇はPPIの方が先んじて大きく上がりました。一方、今年のピークはPPIが3月、CPIは6月とラグがあります。そして、その後の落ち方がPPIの方が急です。
もちろん、CPIの先行きはPPIだけで説明できるわけではありませんが、一定の相関性もあり、CPIやPCE物価といったFRBが重視する物価指標もピークアウトするとの期待を強める内容となりました。
数日前にCPI記事でお伝えしたのに沿って、PPIもコンパクトに「前年同月比」「前月比」「価格水準」をグラフでまとめます。赤い線が総合的な物価、青い線はコア(除く食品・エネルギー)です。
前年同月比はいずれも鈍化が目立ちます。下にあるのは最近の風向きの変化を映す前月比。今年半ばからインフレ圧力の弱まりが確認できます。
最後に価格水準に直したものです。上の「前月比」と表裏一体ですが、今年に入りほぼ横ばいとなっています。「前年同月比」は1年前との比較ですが、今後月を追うごとに1年前の物価が上がってくるので、「前年同月比」の上昇率は鈍化していく公算が大きくなっています。
もちろんインフレは様々な要因に左右されるため、今後の動きは予断を許しません。ただ、ピークアウトの確からしさは日増しに高まっています。今後も様々な指標をもとにその確度の高さを探っていくことになります。
下記は先日の記事。「前年同月比」「前月比」の見方を少し丁寧に説明しています。まだお読みでない方はぜひどうぞ。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?