見出し画像

【よくわかる】日本のインフレ 値上げの実態は?今後どうなる?

5月の消費者物価指数(CPI)が6/24に発表されました。まずはTwitterでの速報画像です

生鮮食品を除くベースで前年同月比2.1%の上昇。4月と同じ伸び率ですが、過去20年でみて、ほとんどなかったインフレになっています。中身をみてみましょう。

大きい分類では光熱・水道が目を引きます。原油をはじめエネルギー価格が急騰した影響が出ています。穀物などの高騰で食品も大きく上昇しています。さらに細かい品目でみればイメージやすいでしょう。

電気代・ガス代・ガソリン代のほか、スーパーで買うものの値上げが目立ちます。最近ではカップヌードル(日清)やポテトチップス(カルビー)などメジャー商品も値上げしました。外食も今年に入り、牛丼は大手各社が値上げしましたし、餃子の王将は5月、久々の値上げに踏み切りました。38年間100円で提供してきたスシローも10月に値上げします。

原油や穀物といった原材料の価格高騰が主因ですが、円安もダブルパンチのように効いています。日本は食料自給率が低いうえ、この10数年は原発停止でエネルギーも海外依存が高まりました。最近はスマホなどデジタル製品の輸入も増えています。原材料はドル建てでも急騰しているうえ、それを円で買う場合、一段とコストが上昇します。

こうしたなかでも日銀は6/17の金融政策決定会合で、金融緩和の維持を決めました。なぜなのか。下記の黒田総裁の会見に集約されています。

日銀は2%の物価上昇を目指していますが、それは賃金や消費、企業業績もしっかりしたなかでの「持続的な」物価上昇です。いまはコストプッシュで企業が苦肉の値上げに迫られています。これは企業の収益環境や消費、さらには賃金にむしろ逆風となります。このため日銀はむしろ金融緩和を続けることで景気を支えることが重要だとしています。

ただ、アメリカが急激に利上げをするなかで日銀が金融緩和を維持すれば、金利差の観点で円安が進みやすくなります。原油価格も昨年より高い状況が続いており、エコノミストの間では2%超の物価上昇が長引く可能性も指摘されるようになってきました。

景気へ支えるためなら本来金融緩和を続けるべきです。ところが金融緩和は「円安→コストプッシュインフレ」を招く面もあり、永田町(特に野党)国民の間では日銀の緩和継続に批判的な声も増えています。

参院選後は黒田総裁(任期は来年4月まで)の後任の人選びも本格化します。世論や政府の動き次第では、日銀が緩和の修正に迫られる可能性もあります。そうなると、円高や株安を招く可能性もあります。

日銀の金融政策を展望する上では、今後の値上げの動向と、それに家計がどこまで耐えられ消費が腰折れせずに済むか。そのうえでの世論・政府の反応が重要になってくるといえそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?