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円安158円台 日本にメリットも ポイント整理

金曜深夜に1ドル=158円台まで円安が進みましたね。

👇は昨日、掲示板にも流したチャート。「10000円=何ドル?」で計算し直したものです。

ちょうど大型連休で海外旅行に行く人も増えているタイミングです。

10000円で買えるドルはこんなに減ってしまいました。しかも、過去数年で現地でもインフレがかなり進んでいます。かつて$64だったものが$80や$90になっていてもおかしくありません。海外旅行は大変です。

こうして、海外のモノやサービスが日本人にとってすごく高くなっています。逆に外国人観光客にとって日本のサービスはお買い得なので、太っ腹です。結局、日本の外食や宿泊もどんどん値上げされ、国内旅行もしづらくなっています。

…と、こうした「円安デメリット」はあちこちで聞いていると思います。

でも、円安には日本にとってメリットもあります。

報道で「円安インフレ」ばかりがとりあげられるので、きょうはバランスをとって、円安メリットをコンパクトにまとめます

◆ 一目でわかるポイント

では、チャートも使って、補強していきますね

① 外貨資産(S&P500など)が円換算で増加

まずこちら。

新NISAで人気のS&P500ですが、円でみると、今年20%も上昇しています。米国株の投資信託を買った場合、円をドルにして米国株を買っているわけです。仮に株価が一定でも、円安が進めば、円換算で値上がりします。

上のグラフの通り、今年の上昇率20%のうち、「円安効果」が「S&P500そのものの上昇(緑線)」より大きいんですよね。

オルカン(全世界株)はユーロなど幅広い通貨に分散しているので、米国株と動きは少し異なりますが、円安になれば同様に円換算の評価額が増えます。

外貨預金外国債券の投資信託でも同様ですね。

かねてnoteや本・テレビで、「外国株や外貨預金を持っておくことは、円安インフレの備えになる」と伝えてきましたが、まさにいま備えがきいていると思います。

② 輸出企業の収益増 → 日本株上昇/賃上げ波及も

円安が進むと、輸出企業が儲かります。

たとえばトヨタがアメリカで3万ドルの車を売ったとします。1ドル=100円なら300万円ですが、1ドル=158円なら474万円になります。

トヨタはドル円が1円円安に振れると、営業利益が500億円増えるといわれます。

こちらはトヨタの純利益の推移。2024年3月期の利益見通しがすごいですね。ハイブリッド車の好調もありますが、円安も効いています。2025年3月期はさらなる増益も期待されています。

日本の主要上場企業は輸出企業が多く、「円安→日本株上昇」になりやすい傾向があります。

さきほど、S&P500の円安メリットをお伝えしましたが、日本株に投資していても米国株投資と似た恩恵を受けられる面があるわけです。

そして、トヨタが稼いだお金を賃上げに反映したり、仕入れ先の値上げに応じたりするといった循環が広がれば、日本経済全体に恩恵が広がります。

③ 外国人観光客の増加

👇みてのとおり、外国人観光客の消費はコロナ前を大きく上回っています。最近の混雑・値上げのニュースをみていると納得ですよね。

観光は「サービスの輸出」といわれます。以前つくったイメージをもう一度載せますね

外国人観光客の急増は「値上げ」「混雑」といったネガティブなイメージで伝えられる面もあります。それも事実ですが、観光産業が潤いますし、パートやアルバイトを含めた賃上げにもつながります。

④ 企業の実物投資(工場など)が日本に

4月はマイクロソフトオラクルなど、日本でのデータセンター拡充の話題がありました。TSMCも第二工場を建設します。信越化学が56年ぶりに日本で工場を新設することも注目されました。

円安になると、海外に比べ、土地や人件費が相対的に安くなりますよね。外国人が日本株を買うのと同じように、企業の実物投資が日本でも増えやすくなります。

日本企業の動きも重要です。2010年前後の円高時は逆に海外工場へシフトを強めました。しかし円安になると、日本企業にとっても国内回帰の方が魅力的になります。

日本で工場や拠点が増えれば、雇用が生まれたり、産業集積が広がる可能性もあります。


◆ われわれはどうすれば?

テレビなどで「円安にどう対応すればいい?」とよく聞かれます。

すぐにできるのは余裕資産の一部を外貨資産にすることだと思います。

すぐに使わない預金のうち、たとえば30%程度を外貨に回しておけば、円安になったときのダメージを抑えられます。何%が適当かは年齢や家族構成、収支などによるので、30%はあくまで目安です。

もちろん、一気にゴソッと外貨に替えると、円高に反転したときに損が大きくなります。積みたてで徐々に移していくことが基本かと思います。

あとは輸出企業や観光産業のように稼ぐ業種もでてきます。たとえばしばらく専業主婦で仕事を離れていた人も、観光関連で仕事をみつけやすいかもしれません。

また転職が当たり前の時代になりつつあります。経済構造の変化にあわせて成長産業にシフトしていくという意識も求められるようになっていくと思います。

最後に私見です。

円安インフレで「日本人が貧乏に」といった解説もSNSやメディアで増えています。正直いって、そうした状況が深まるリスクは高まっていると思います。

ただ、資産を海外に分散したり、自身の仕事を時代の転換にあわせられるよう努めれば、「日本人が貧乏に」なるリスクは抑えられます。むしろ、値上げ以上に資産が増え、家計に余裕がでる可能性もあります。

世知辛いかも世の中かもしれませんが、変化に対応する意識と行動力をもつことが一段と大切になってきていることかと感じています。

ではいつものようにスライドを再掲しますね。

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